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生体組織の再生能力を低下させるタンパク質発見、再生医療への応用に期待-藤田医科大

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2019年11月08日 PM02:45

幹細胞の供給源として注目される「皮下脂肪」

藤田医科大学は10月31日、生体組織の再生に関わる幹細胞の分化能を抑制するタンパク質「)」を突き止めたことを発表した。この研究は、同大応用細胞再生医学講座 赤松浩彦教授、同大皮膚科学講座 杉浦一充教授らの研究グループが、日本メナード化粧品株式会社と共同で行ったもの。研究成果は、「Regenerative Therapy」電子版に掲載されている。


画像はリリースより

生体組織を維持・再生するためには、組織に存在している幹細胞の分化によって新しい細胞を供給することが重要だ。特に皮下脂肪は、他の組織に比べて幹細胞が豊富に存在し、分離しやすく、幹細胞の供給源として注目されている。なかでも間葉系幹細胞は、再生医療への応用が進められている。

研究グループは、皮下脂肪に存在する間葉系幹細胞をターゲットに、加齢に伴う幹細胞の能力の変化について解析。その結果、以下のことが明らかになった。

(1) 間葉系幹細胞の脂肪細胞への分化をGREM2が抑制する
(2) 加齢にともない皮下脂肪のGREM2の発現量は増えている
(3) GREM2の発現量を減らすと間葉系幹細胞の分化能は改善する

加齢によるGREM2の増加が幹細胞の能力を低下させ、組織の再生能力が衰える

今回の研究成果により、加齢によってGREM2が増えると幹細胞の能力を低下させ、組織の再生能力が衰えるというメカニズムがわかってきたという。

また、同研究からGREM2の発現量を減らすことで、幹細胞の能力を高めることが可能であると示唆されたことから、「今後GREM2の発現をコントロールする技術が確立できれば、生体組織の再生能力の向上や、再生医療への応用が期待できると考えている」と、研究グループは述べている。

 

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