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自閉スペクトラム症、オキシトシン経鼻スプレーの効果を医師主導試験で検証-浜松医大

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2018年07月03日 PM01:30

主要症状への有効な治療が未確立の自閉スペクトラム症

浜松医科大学は6月27日、自閉スペクトラム症における対人コミュニケーションの障害に対する初の治療薬として期待されるオキシトシン経鼻スプレーの医師主導臨床試験を行い、その有効性と安全性を世界で初めて検証したと発表した。この研究は、同大精神医学講座の山末英典教授(前東京大学准教授)、金沢大学の棟居俊夫前特任教授、名古屋大学の岡田俊准教授、福井大学の小坂浩隆教授らの研究グループによるもの。研究成果は、英科学誌ネイチャー系医学誌「モレキュラー・サイキアトリー」に掲載された。


画像はリリースより

(自閉症スペクトラム障害)は、一般人口の100人に1人以上で認められる代表的な発達障害。表情や声色を活用して相手の気持ちを汲み取ることが難しいといった対人コミュニケーションの障害と、興味や関心が偏りやすく同じ行動を繰り返しやすいという常同行動と限定的興味を主な症状としている。従来の薬物療法では、2つの主要な症状よりも不安や抑うつおよび強迫症などの併発した症状を対象にしており、2つの主要な症状に対しての有効な治療は確立されていない。

脳から分泌されるホルモンのオキシトシンは、女性における乳汁分泌促進や子宮平滑筋収縮作用が広く知られており、脳内でも作用していることが指摘されている。日本では注射剤のみが認可されており、陣痛誘発・分娩促進などに保険適用が認められている。経鼻スプレー製剤は、ヨーロッパで認可され、授乳促進の目的で使用されている。

常同行動と限定的興味、オキシトシン投与で有意に軽減

今回の臨床試験は、オキシトシンの自閉スペクトラム症への投与効果を検討した医師主導の無作為割付多施設大規模試験。説明同意を得て、知的障害を伴わないことや自閉スペクトラム症の診断を満たすことなどの適格性を確認。登録割付を行った106名の成人男性の方のうち、脱落例を除いて、オキシトシン投与した51名とプラセボ投与した52名が解析対象となった。

その結果、主要評価項目の対人場面の振る舞いから評価した対人コミュニケーションの障害については、オキシトシン投与前後で有意に軽減したものの、プラセボ投与でも同様に軽減し、オキシトシン投与とプラセボ投与で差は認めなかった。オキシトシンの血中濃度については、オキシトシン投与前後で有意に上昇した一方、プラセボ投与では変化せず、両群間に有意差を認めたという。また、オキシトシン投与前後における対人コミュニケーションの障害の軽減は、オキシトシン血中濃度の上昇と相関する傾向を示した一方で、プラセボ投与前後における対人コミュニケーションの障害の軽減は、血中濃度変化と相関しないことが判明したという。

副次評価項目では、自閉スペクトラム症のもうひとつの主な症状である常同行動と限定的興味が、オキシトシン投与で有意に軽減。プラセボ投与では変化せず、両群間に有意差を認めた。また、視線計測で検討した、話しかけられる際に相手の目元を見る時間の比率が、オキシトシン投与で有意に増加し、プラセボ投与では変化せず、両群に有意差を認めたという。

なお、オキシトシン経鼻スプレーを初の自閉スペクトラム症中核症状治療薬として実用するため、山末教授は帝人ファーマと共同で、十分な血中濃度上昇が得られる様に改良した新規経鼻製剤を開発。この新製剤を用いて、投与頻度を低下させた用法も含む複数の用法用量を設定し、実施体制や効果判定方法を洗練させて、プラセボ効果に影響されにくいデザインの医師主導治験を計画。同治験は、平成30年2月3日にPMDAに治験届けを提出し、2月27日に開始している。

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