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リムパーザとアビラテロン併用療法、mCRPCのrPFSを有意に延長-英AZ

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2018年06月11日 PM12:30

HRR遺伝子変異状況を問わず、rPFSが有意に延長

英アストラゼネカ社と米メルク社は6月4日、転移性去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)の現在の標準治療であるアビラテロン単剤療法との比較で、アビラテロンとリムパーザ()の併用療法が、画像診断に基づく無増悪生存期間(rPFS)中央値で臨床的に有意な延長を示すデータを発表した。このデータは2018年ASCO年次総会で発表され、「the Lancet Oncology」にも同時掲載されている。


画像はリリースより

このデータは、相同組み換え修復(HRR)遺伝子変異の有無に関わらず、タキサン系化学療法による前治療歴のあるmCRPC患者を対象とするリムパーザとアビラテロンの併用療法(71例)とアビラテロン単剤療法(71例)を比較した無作為化二重盲検多施設共同第2相試験「Study08」によるもの。rPFS中央値は、リムパーザとアビラテロンの併用療法群では13.8か月に対し、アビラテロン単剤群では8.2か月(HR:ハザード比 0.65;95%CI:95%信頼性区間0.44-0.97;p=0.034)。PFS2中央値に関しては、23.3か月に対し、18.5か月だった(HR 0.79;95%CI0.51–1.21)。OS中央値は、併用療法群の22.7か月に対し、アビラテロン単剤群では20.9か月(HR 0.91;95%CI 0.60–1.38)。事前に計画された探索的なサブグループ解析により、HRR遺伝子変異状況を問わず、患者におけるrPFSの延長が示された。

HRR遺伝子変異を有するmCRPCへの単剤療法試験も進行中

リムパーザとアビラテロン併用療法のグレード3以上の有害事象、重篤な有害事象および有害事象による治療中止は、アビラテロン単剤群に比べ併用療法群においてその発生率が高率だった(それぞれ、54%対28%;34%対18%;30%対10%)。併用療法群において最も頻度が高かったグレード3以上のAEは、貧血(21%)、肺炎(6%)、心筋梗塞(6%)であり、重篤な心血管イベントは併用療法群では7例に、アビラテロン群では1例にみられた。

現在、Study08に加え、リムパーザのHRR遺伝子変異を有するmCRPCの単剤療法としての可能性を模索する他の試験が進行中。それらには、mCRPC患者を対象としてリムパーザ単剤療法をエンザルタミドまたはアビラテロンと比較検討するPROfoundが含まれる。また、HRR遺伝子変異の有無を問わず、mCRPCに対するリムパーザの併用療法を検討する追加試験も計画されている。リムパーザはBRCA遺伝子変異陽性またはATM遺伝子変異陽性のmCRPCの治療薬として、2016年に米国食品医薬品局()より画期的治療薬指定を受けている。

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