体力や人間関係でストレスの多い解剖実習、チーム編成が重要
群馬大学は10月28日、医学教育における解剖学実習のチーム編成を最適化する「Yukari法」を開発し、その有効性を実証したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科機能形態学分野の村上徹准教授らの研究グループと同大情報学部との共同研究によるもの。研究成果は、「Anatomical Sciences Education」に掲載されている。

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人体解剖学実習は医学科および歯学科の学生が履修する授業である。献体によって大学が預かった人体を履修生らが数か月かけて丁寧に解剖し、その成り立ちを学ぶ。これを数人のチームで取り組み、解剖学の知識だけでなく、生命倫理やチームワークも学んでいく。解剖学自体の難しさに加え、体力や人間関係の上でもストレスの多い授業であるため、チーム編成が学習の成否に大きく影響する。
相性・意欲を反映した独自のアルゴリズムで、成績約10%向上、満足度も改善
今回開発した「Yukari法」は、学生同士の希望や学習意欲を厳重なセキュリティ下のアンケートで収集し、独自のローカルサーチアルゴリズム(効率よく最適な組み合わせを探す計算方法)を使い、ほんの数分で最適なチームを組むことができる。
チーム編成にYukari法を適用した結果、従来のランダムにチーム編成した場合や学生自身に編成を任せた場合と比べて、解剖学の成績が約10%向上し、学生らの自分のチームに対する満足度も顕著に改善された。
工学・社会科学分野、企業活動など幅広く応用できる可能性
チーム学習は医学部だけでなく、基礎教育から高等教育まで、幅広いレベルや分野で使われている。また企業活動などでも、効果的なチーム編成は成果を高めるために重要である。
「この手法は、医学教育にとどまらず、工学や社会科学など、チームワークを重視する幅広い教育現場で活用できる可能性がある。今回の研究では医学科の解剖学実習への応用であったが、チームワークに基づいた学習や活動に幅広く応用できる。アンケートからチーム分けまでを自動化するシステムを構築すれば、プライバシー保護を万全にできる」と、研究グループは述べている。
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