PCI治療後の心血管リスク予測、AIによる画像解析を活用
宮崎大学は10月1日、人工知能(AI)を用いたラジオミクス解析により、冠動脈CT(CCTA)画像からカテーテル治療(PCI)後の重大な心血管イベント(心筋梗塞や心不全など)のリスクを、従来よりも高精度で予測できることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大医学部と工学部の研究グループ(小牧聡一助教、松浦祐之介准教授、海北幸一教授、内山良一教授ら)によるもの。研究成果は、「Journal of Cardiovascular Computed Tomography」に掲載されている。

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PCIは狭心症などに対して広く行われているが、治療後にも心筋梗塞や心不全が発症するリスクがある。研究グループは今回、CCTA画像をAIで解析し、肉眼では識別が難しい特徴を数値化した。
CACスコアのみでは限界のあったリスク予測精度が大幅改善
さらに、これを冠動脈石灰化(CAC)と組み合わせることで、1年以内の心血管イベントの発生を高い精度で予測できることを示した。これにより、CACスコアのみでは限界のあったリスク予測が大幅に改善された。
個々のリスクに応じた治療・予防策の実現で、医療の質と安全性向上に期待
同成果は、AIが診断だけでなく治療後のリスク予測にも有効であることを示している。今後は多施設での検証を進め、実臨床に応用することで、患者一人ひとりに合わせた「オーダーメイドの心臓治療」や「的確な予防医療」の実現に大きく貢献することが期待される。
「ラジオミクスによる新しい解析は、心疾患再発リスクを可視化する革新的アプローチである。誰にでも起こり得る心臓病に対し、個々のリスクに応じた最適な治療・予防策を選択できる未来を拓き、医療の質と安全性を大きく向上させる可能性がある」と、研究グループは述べている。
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