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日本における「胃悪性腫瘍」手術方法の実態と地域差を解明、NDB活用で-NCGM

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2024年10月18日 AM09:20

日本全国における胃悪性腫瘍切除手術の実態は?

)は10月10日、2014~2021年度にかけて全国で行われた胃悪性腫瘍の切除手術に関する疫学研究の結果から、日本の胃悪性腫瘍の内視鏡手術・外科手術の実態と地域差を明らかにしたと発表した。この研究は、NCGM国府台病院総合内科、消化器・肝臓内科らの研究グループによるもの。研究成果は、「Gastric Cancer」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

胃がんは世界的に見ても東アジアで罹患率が高く、日本でも特に高齢者に多く発生している。日本では近年、(ESD)など体への負担が少ない内視鏡手術が広がってきているが、治療法の地域格差や全国的な標準化が課題となっていた。

そこで研究グループは、日本全国における胃悪性腫瘍(主に胃がん)切除手術の実態を明らかにし、今後の診断・治療の標準化・均てん化や医療政策に資するデータを提供することを目的に研究を行った。

手術方法の年齢・性別による分布や地域差、COVID-19の影響や専門医の人数なども調査

研究では、厚生労働省が集計・公開しているレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDBオープンデータ)を利用し、2014~2021年度に行われた胃悪性腫瘍の切除手術数のデータを分析した。NDBは日本のほぼ全ての健康保険請求データを含む大規模なデータベースだ。

今回の研究では、胃がんを含めた胃悪性腫瘍の内視鏡手術、(ロボット支援手術を含む)、開腹手術の3つの手術方法の数と割合に関して、年齢・性別による分布や地域差について分析した。さらに、COVID-19のパンデミックが手術件数に与えた影響についても評価。また、他の公開データを用いて胃悪性腫瘍の手術に関連する4種類の専門医の人数の地域差なども調べた。

パンデミックの影響で手術数は一時減、内視鏡手術と腹腔鏡手術増・胃全摘術減

その結果、いくつかのことが明らかになった。胃悪性腫瘍の切除手術の年間件数は2015年度に約10万9,000件と最も多く行われたが、COVID-19パンデミックの影響により、2020年度には約9万件に減少した。その後、2021年度にはやや回復し9万4,000件となった。

手術方法については、内視鏡手術は2014年度の47%から2021年度には57%に増加し、その多くはESDだった。また、ロボット支援手術を含めた腹腔鏡手術も20%から24%に増加した。腹腔鏡手術の中でロボット支援手術の割合は2018年度の6%から2021年度の17%に増加。切除範囲については、胃全摘術は2014年度の17%から2021年度の10%に減少した。

手術を受けた患者は80~84歳が多く、人口あたりの手術数の最多は鳥取県

患者の年齢・性別の分布については、2021年度に手術を受けた患者の70%が男性だった。また、患者の84%が65歳以上だった。最も手術を多く受けているのは、男女ともに80~84歳で、人口100万人あたり男性は4,819人、女性は1,599人だった。

手術件数や治療法の選択には地域差があり、2021年度は鳥取県では人口あたりの手術数が最も多く(1,236件/100万人)、沖縄県では最も少ないという結果(251件/100万人)となった。また、内視鏡手術の割合が最も高いのは宮城県(66%)、最も低いのは愛知県(45%)だった。さらに、開腹手術の割合が高い地域は青森県で(36%)、和歌山県では最も低い(5%)結果となった。消化器内視鏡専門医や消化器外科専門医の人口当たりの人数も大きな差を認めた。

また、COVID-19の感染者数の増加や緊急事態宣言と関連して、2020年度の手術件数は減少が見られた。2019年度平均と比べると、2020年5月には内視鏡検査は53%、内視鏡手術は65%、内視鏡手術以外の手術は78%に減少した。

胃がん手術の均てん化のためにはデータベースを発展させ、EBPMにつなげることが重要

今回の研究により、胃がん手術における地域差や治療法の変遷が明らかにされた。また、内視鏡手術が増加する一方で、地域によっては開腹手術や胃全摘術の割合が高いことが判明した。これについて研究グループは、全国的な治療の標準化や専門医の偏在の改善が重要だとしている。一方、同研究の限界としては、NDBオープンデータの特徴に関連するものとして、生活保護受給者等の公費負担の患者は含まれないこと、患者個人単位のデータは利用できないこと、病名などの詳細はわからないことなどがある。手術件数や手術方法の地域差だけでなく、がん検診受診率や専門医数にも地域差はあることは示されたが、具体的な関連や原因は明らかにされていない。

「日本には外科手術の大部分をカバーするNational Clinical Databaseがあり、胃がんを含めたさまざまな論文が発表されているが、内視鏡手術は含まれていない。内視鏡手術についてはJapan Endoscopy Databaseもあるが、まだ内視鏡手術の多くをカバーする段階まで進んでいない。どこにいても同じように胃がん治療を受けられるためには、これらのデータベースを発展させ、利用して、EBPM(証拠に基づく政策立案)につなげていくことが重要だと考える」と、研究グループは述べている。

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