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ペット型ロボットは、無菌室での長期療養患者への心理面支援に「有効」-東京医科大

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2024年03月18日 AM09:10

動物介在療法の有効性は複数示されているが、血液疾患では感染予防等の観点から導入困難

東京医科大学は3月12日、無菌室で数か月の隔離治療が必要となる血液疾患の患者の心理的なサポートにペット型ロボット(aibo)が有効かどうかについて実証実験を行った結果、aiboの介入により一定の心理的ストレス改善効果が認められたと発表した。この研究は、同大血液内科学分野の山田晃子助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

近年、がんは慢性疾患の一つと捉えられるようになり、がん患者の長期的な心理過程やソーシャルサポートなどの研究が進んできている。特に、血液内科領域の悪性腫瘍患者は、化学療法による副作用や合併症による身体的苦痛とそれに伴う精神的苦痛に加え、無菌室という特殊環境下での孤独感、閉塞感などの精神的苦痛も経験する。小児科患者や慢性疾患患者の療養時の精神ケアに動物介在療法が有効であるという報告は複数あり、セラピードッグを導入している施設も多くなっている。しかし、血液内科患者は免疫能の低下と感染予防の観点から動物介在療法の導入は困難だ。

隔離環境下・長期入院の造血器腫瘍患者、ロボットのセラピー効果をストレスホルモンで検証

一方で、アレルギーや人畜感染症などの課題から動物介在療法を行うことのできない対象者に対する精神的ケアをペット型ロボットで代用できないかを比較検討した試みが報告されている。このことから、ペット型ロボットによるセラピー効果は十分に期待できると研究グループは考えた。今回の研究では、隔離環境下での長期入院を要する造血器腫瘍患者に対し、患者のストレスホルモンを定期的に測定した。

一定の心理的ストレス改善効果を認め安全上の影響なし、リハビリ向上効果も期待

研究の結果、ペット型ロボットの介入による一定の心理的ストレス改善効果が認められた。また、ペット型ロボット介入による安全上の影響はなく、運用可能であると考えられた。

以前から、血液内科病棟では面会制限があり、コロナ禍でそれがさらに厳しいものになった中、aiboとのコミュニケーションは非常に有用であると考えられる。コロナ禍のステイホーム期間、aiboの開発元であるソニーは「運動不足解消」のため、aiboのラジオ体操機能を配信している。今回の研究では、無菌室患者がaiboに「ラジオ体操を踊って」と声をかけ、aiboがラジオ体操のふるまいをした際に、患者も一緒にラジオ体操をする様子も見られ、導入当初は想定していなかったリハビリ向上の効果もあった。このことから、感情面に加え、早期の筋力改善、離床効果など身体面への効果にも期待できると考える、と研究グループは述べている。

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