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初回ICI治療の肺がんに対する二次治療「ドセタキセル+ラムシルマブ」は有望-名大ほか

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2023年11月14日 PM12:15

一次治療が免疫療法の場合の有効性/安全性は要検討事項

名古屋大学は11月13日、免疫チェックポイント阻害剤と殺細胞性抗がん剤の併用療法が無効となった非小細胞肺がん患者に対する二次治療として、・ラムシルマブ併用療法を検討した多施設共同第2相臨床試験の結果、同療法が有望な治療選択肢の一つであることが示されたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科呼吸器内科学の松澤令子研究員、森瀬昌宏講師、石井誠教授らが、全国の医療機関8施設の協力を得て実施したもの。研究成果は、「eClinicalMedicine」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

肺がんは、国内で年間約7万5,000人が亡くなるがん死亡第一位の疾患で、さらなる治療の進歩が必要とされている。非小細胞肺がんは肺がんの8割以上を占めており、現在転移を認める進行期非小細胞肺がんに対する初回治療には免疫チェックポイント阻害剤と殺細胞性抗がん薬の併用療法が有用な選択肢の一つだ。しかし、80%以上の患者で治療中または治療後にがんの病勢進行を認め、二次治療が必要となる。

ドセタキセルは、がん細胞が分裂・増殖するために重要な過程である微小管の脱重合を阻害することで、抗がん作用を示す薬剤。ドセタキセルと、腫瘍血管の新生を抑える効果のあるラムシルマブの併用療法は、免疫療法が初回治療として確立される以前の大規模な臨床試験の結果に基づいて、初回治療後の二次治療の選択肢の一つとして国内で保険承認されている治療である。つまり、初回治療として免疫チェックポイント阻害剤と殺細胞性抗がん剤の併用療法を選択し、その治療が無効となった後のドセタキセル・ラムシルマブ併用療法の有効性と安全性についてはさらなる評価が必要とされ、肺がん治療に関連する課題の一つとされていた。それは、先行して使用された免疫チェックポイント阻害剤の薬効が、投与終了後も持続し、ドセタキセル・ラムシルマブ併用療法の効果が高まる期待がある一方で、副作用が重篤になることが懸念されるためである。

初回免疫チェックポイント阻害剤使用の患者で効果が高まる期待も

ラムシルマブはVEGF-R2という血管内皮細胞に発現している受容体の働きを阻害し、腫瘍の血管新生を抑制することで抗腫瘍効果を示す抗体だが、これに加え、VEGF経路の活性化を抑制することで、がんの微小免疫環境で腫瘍に対する免疫を活性化する可能性が示唆されている。このため、初回治療で免疫チェックポイント阻害剤を使用した患者では、二次治療のドセタキセル・ラムシルマブ併用療法の効果が、従前の免疫チェックポイント阻害剤を使用しない初回治療後のドセタキセル・ラムシルマブ併用療法で得られる効果と比較して、より良くなるかもしれない可能性も示唆されていた。

33人の患者を対象に臨床試験を実施、奏効割合は34.4%

研究グループは、免疫チェックポイント阻害剤と殺細胞性抗がん剤の併用療法後にがんの病勢が進行した患者を対象として、ドセタキセル・ラムシルマブ併用療法の有効性と安全性を評価する多施設共同の第2相臨床試験を実施した。33人の患者が臨床試験に参加し、安全性は33人、有効性は32人の患者を対象に評価した。

主要評価項目の奏効割合は34.4%で、転移を認める進行期非小細胞肺がんに対する二次治療として有望な結果が得られた。その他、別の有効性の指標である病勢制御割合は83.1%だった。臨床試験へ登録した日からがんの増悪を認めるまでの無増悪生存期間の中央値は6.5か月だった。

安全性は、ICIがなかった時代の特徴と概ね同様の結果

安全性に関しては、自覚的な有害事象として、倦怠感(64%)、脱毛(58%)の頻度が多く、注意すべき重篤な副作用としては、肺臓炎(9%)、発熱性好中球減少症(9%)、出血(6%)等が認められた。この結果を解析したところ、免疫チェックポイント阻害剤が使用できなかった時代に行われたドセタキセル・ラムシルマブ併用療法の副作用の特徴と概ね同様な結果が得られた。

さらに大規模な臨床試験での検証を

今回の研究により、免疫療法が非小細胞肺がんに対する重要な治療選択肢となった現在においても、ドセタキセル・ラムシルマブ併用療法は、免疫チェックポイント阻害剤と殺細胞性抗がん剤の併用療法が無効となった患者に対して、副作用に対する注意やケアは必要だが、有望な治療選択肢の一つであることが示唆された。研究は探索的な臨床試験であるため、さらに大規模な臨床試験で本研究の結果を検証する必要があるが、研究結果は、日常診療で非小細胞肺がんに対する二次治療の選択を決定する際に参考となることが期待される。

また、現在ドセタキセル単剤療法に対して有効性が優っていることを期待して開発が行われている新規の抗がん剤が、将来日常診療で使用できるようになる可能性があり、二次治療の選択肢がこれまで以上に増えることも予想される。「非小細胞肺がんに対する二次治療の進歩を目指し、次なる研究を計画・実施する際の科学的根拠となることが期待される」と、研究グループは述べている。

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