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再発肝細胞がん、再肝切除よりも肝移植が望ましい予後不良因子を解明-広島大ほか

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2023年10月06日 AM11:14

肝切除後の肝がん再発、肝移植か再肝切除のいずれの治療が適切かは定まっていない

広島大学は10月5日、広島臨床腫瘍外科研究グループ()の多施設データベースを用いて、肝細胞がん肝切除再発症例のうち、肝移植可能再発症例に対する再肝切除の予後不良因子を明らかにしたと発表した。この研究は、同大病院未来医療センターの大平真裕助教らの研究グループによるもの。研究成果は、「angenbeck’s Archives of Surgery」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

肝細胞がんに対する肝切除は根治療法であるが、肝がん発生母地が残るため5年で70%の症例で再発をきたすことが問題となっている。肝臓移植は、肝臓そのものを取り替えるため再発は少ないが、侵襲が高く肝臓を提供するドナーが必要である。

従来、肝切除後の肝がん再発に対して、肝切除と肝移植のいずれが望ましいかについて十分な検討がなされておらず、肝細胞がんの肝切除後再発に対する治療ガイドラインは定まっていなかった。そこで研究グループは、HiSCOで行われた肝細胞がんに対する肝切除症例のデータベースを用いて、肝がん再発に対する肝切除症例を後方視的に解析した。

初回肝切除と複数回肝切除の成績を解析、5年全生存率はほぼ同等

HiSCOによるデータベースの肝細胞がんに対する肝切除2,244人を対象として初回肝切除1,758人と複数回肝切除486人の成績を解析した。5年無再発生存率(RFS)は複数回肝切除で23.5%、初回肝切除の34.7%より低い結果だった(p<0.0001)が、5年全生存率(OS)はほぼ同等(複数回肝切除63.0%、初回肝切除66.2%、p=0.3094)だった。さらに複数回肝切除を2回目と3回以上の2群に分けて解析したが、OS、RFSともに有意差はなかった。この結果は、複数回肝切除が安全に施行可能であることを示唆している。

最大腫瘍径>20mmなど3つの予後不良因子のうち2個以上で肝移植が有効と判明

次に486人の再肝切除症例のうち肝移植可能再発(70才未満、ミラノ基準内)を来した202人を対象として、再肝切除の予後不良因子を検討した。単変量解析では、直近の肝切除が非系統的切除・ICG-R15>10%・Child-Pugh grade B・mALBI grade 2b・最大腫瘍径>20mm・複数個腫瘍が予後不良因子として同定された。多変量解析の結果、mALBI grade 2b(血清アルブミン値、血清ビリルビン値から算出するスコア)・最大腫瘍径>20mm・複数個腫瘍が独立した予後不良因子だった。これら3個の予後不良因子が2個以上存在すると5年生存率は30.6%であり、予後不良因子1個以下の81.8%と比較して有意に低下していた。したがって予後不良因子が2個以上ある場合は肝移植、1個以下であれば肝切除が有効であると考えられる。

肝細胞がん再発症例の治療ガイドライン作成に有益な情報

今回の研究により、肝細胞がん肝切除後の肝移植可能症例に対する再肝切除の予後不良因子が明らかになった。これらの知見は今後の肝細胞がん再発症例に対する標準治療ガイドライン作成に有益な情報になることが期待される。「今後は、肝細胞がん再発に対する肝臓移植症例の多施設研究を進めていく予定」と、研究グループは述べている。

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