医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > コロナ流行下で神経発達症の子と親のQOLの変化、影響する要因を調査-NCNPほか

コロナ流行下で神経発達症の子と親のQOLの変化、影響する要因を調査-NCNPほか

読了時間:約 2分49秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年03月17日 AM10:45

環境の変化に敏感な発達障害の子どものQOLと親の精神状態、コロナ禍での変化は?

(NCNP)は3月15日、新型コロナウイルス感染症()の流行拡大下において、発達障害がある子どもと親の生活の質について継続的に調査を行った結果を発表した。この研究は、同センター精神保健研究所知的・発達障害研究部の上田理誉研究生、請園正敏リサーチフェロー、高田美希研究員、岡田俊部長らの研究グループと、日本心身障害児協会島田療育センターはちおうじ小沢浩所長らが共同で行ったもの。研究成果は、「Scientific Reports」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

発達障害の子どもは環境の変化に敏感であり、COVID-19感染拡大によりメンタルヘルスの悪化が危惧される。加えて、養育する親の育児負担も増大することが懸念される。研究グループは、感染拡大が始まった2020年5月から、発達障害の学齢期の子どもの親による親と子どものQOLに関する経時的調査を開始した。

これまでに、子どもの睡眠スケジュールの変化と母親の勤務形態を柔軟に変更できないことが、子どもと親のQOL低下と関連していること、また、子どもの睡眠スケジュールの悪化は子ども自身の抑うつ傾向と深く関わっていることを明らかにしてきた。

今回は、2021年5月に、新型コロナウイルス感染症拡大から1年後の子どもと親のQOLの変化を調べ、子どものQOLと親の精神状態の変化がどのように作用しているかを調べた。また、子どもたちのQOLに影響する可能性のある要因についても検討した。

親は抑うつ、育児ストレス、QOLなどを評価し、子どもはVASを自己回答

2020年5月と2021年5月(ともにCOVID-19拡大による緊急事態宣言下)に、8~17歳までの学齢期の発達障害()の子ども89人(平均年齢11.6歳、男子70人、女子19人)が質問紙調査に参加した。親の抑うつ(CES-Dうつ病自己評価尺度)、不安(新版 STAI 状態ー特性不安検査)、育児ストレス(PSI育児ストレスインデックス)、QOL(WHO-QOL26)、および小児の不適応行動(子どもの行動チェックリスト)とQOL(Kiddo-KINDLR)を親が評価した。また、子どもの生活面や家庭の経済状況の変化などについてのアンケート調査も合わせて実施した。子どもたちは、一時的な気分を表すVAS(Visual Analog Scale)について、0(今まで感じた中で最悪)~100(今まで感じた中で最高)の数値を用いて自己回答した。

QOL、子どもは改善を示したのに対し親は悪化

その結果、2021年5月の時点では、子どものQOLとVAS(一時的な気分)は2020年5月に比べて改善していた。一方、親のQOLは1年前に比べて悪化していることがわかった。また、子どものQOLと親の精神状態との関連についても検討した。2020年5月に親に強い抑うつ傾向があると、翌年の育児ストレスと抑うつ傾向は増悪し、2020年5月に子どものQOLが高いと翌年の子どものQOLも上昇傾向であることを認めた。2020年5月の子どものQOLは、翌年の親の育児ストレスにも影響していることがわかった。

子どもの一時的な気分の低さ、親のQOLの低さは、経済的負担感の悪化と関連

さらに、2021年5月に、子どもの一時的な気分が低いこと、親のQOLが低いことは、2020年5月と比較して2021年5月に親の家計に対する経済的負担感が悪化したことと関連していた。実際、経済的な公的援助が必要な家庭は5家庭(5.6%)から9家庭(10.1%)に増え、80人中21人の父親(母児家庭を除く、26.3%)と89人中19人の母親(21.3%)がCOVID-19拡大以前より収入が減少していた。

子どものQOLを低下させないために、親のメンタルヘルスへの援助が重要

新型コロナウイルス流行拡大が長期化する中で、子どもと親のQOLは変化していることを示した。子どものQOLの向上は、母親の抑うつ症状の軽減に影響されていた。子どものQOLを低下させないためには、親のメンタルヘルスへの援助が重要といえる。

最近では、新型コロナウイルスへの感染が子どもに拡大するなどの状況が見られる。また、養育にかかわる親の精神的・経済的負担も浮き彫りになってきた。「感染拡大の収束はまだ見通すことができないが、その回復過程に影響を与える要因も含めて検討し、支援の方策を見いだしたい」と、研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 指の幅よりも長さの変形の方が仮想空間で受け入れられやすいと判明-名古屋市大ほか
  • KRAS肺がん、WEE1阻害薬+ソトラシブが新治療法となる可能性-金沢大
  • CKDの治療薬ダパグリフロジン、費用対効果高いと国際共同研究で判明-横浜市大ほか
  • デュシェンヌ型筋ジストロフィー、症状再現マイクロミニ・ブタモデル創出-NCNPほか
  • 爪幹細胞含む「指先オルガノイド」をヒトiPS細胞から作製-関西医科大