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アルツハイマー病の脳内炎症抑制につながる共役リノール酸を発見-北大ほか

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2021年05月14日 AM11:30

中枢の脳神経系で機能する異性体を含む共役リノール酸混合物を探索

北海道大学は5月13日、共役リノール酸(CLA)の一種cis-9、trans-11CLA(以下c9、t11CLA)を摂取したアルツハイマー病マウスモデルで脳内炎症を抑制するサイトカインが誘導されることを見出したと発表した。この研究は、同大大学院薬学研究院認知症先進予防解析学分野(株式会社デメンケア研究所寄附講座)の駒野宏人客員教授(岩手医科大学元教授)、鈴木利治特任教授らの研究グループと、岩手医科大学薬学部、東京大学大学院薬学系研究科、京都大学大学院農学研究科、東京理科大学理工学部、大阪産業技術研究所との共同研究によるもの。研究成果は、「Scientific Reports」にオンライン掲載されている。


画像はリリースより

日本では10年前に認知症患者数は400万人を超え、その70%はアルツハイマー病とされる。予防法や治療法の開発が健康・医療の問題だけでなく、社会経済的にも解決すべき喫緊の課題となっているが、アルツハイマー病に対する根本治療薬は開発途中の段階であり、科学的エビデンスに基づいた予防法も少ないのが現状だ。

アルツハイマー病は、(Aβ)が引き起こす神経機能障害が根本原因と考えられているが、認知機能障害の憎悪には、脳内に沈着するAβが誘発する炎症が関わっていることが明らかになりつつある。これまでに複数の異性体を含む共役リノール酸(CLA)混合物は、末梢でさまざまな生理活性を示すことが報告されてきたが、中枢の脳神経系で機能を示す異性体の同定は未解明だった。

8か月間モデルマウスに経口摂取、脳内アミロイドの減少と抗炎症性サイトカインの増加

今回研究グループは、ヒト型Aβを産生するアルツハイマー病マウスモデルにc9、t11CLAを含む飼料を8か月間与え、脳内のアルツハイマー病にみられる病理的特徴の変化を解析した。その結果、c9、t11CLA摂取マウスでは、対照食摂取マウス群と比較して、脳内アミロイドの減少と、抗炎症性サイトカインの増加が認められた。

アルツハイマー病の予防に効果的なサプリメントや治療薬の開発に期待

「c9、t11CLAの摂取によるアルツハイマー病の予防に効果的なサプリメントや治療薬の開発を行うことで、認知症の予防・治療への効果が期待でき、高齢者のQOL向上と社会経済的負担の軽減が期待できる」と、研究グループは述べている。

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