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人工呼吸器関連肺炎予防の薬用液体歯みがきを開発・製品化-広島大ら

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2019年07月17日 PM12:00

・桿菌、歯周病菌、虫歯菌の殺菌効果が期待できる

広島大学は7月12日、人工呼吸器関連肺炎()予防の薬用液体歯みがき用品「オーラル プリベント&ケア マウスウォッシュ」を開発・製品化したと発表した。この製品は、同大学大学院医系科学研究科の阿部泰彦准教授、岡﨑洋平助教らの研究グループと、メディカルクラフトン株式会社(製造販売)、プリマール株式会社(製造)が産学連携コンソーシアムを形成し、2017年度~2019年度の日本学術振興会科学研究費助成事業「人工呼吸器関連肺炎の発症リスク軽減を目指した新規洗口剤の開発」の研究成果を活用し開発した。メディカルクラフトン社は、同製品を「薬用歯みがき類製造販売承認基準」に従い岡山県に申請し、岡山県知事より2019年2月26日付けで製造販売が承認された。


画像はリリースより

人工呼吸器関連肺炎(VAP)の口腔ケアにおいて、欧米ではグルコン酸クロルヘキシジンを0.12~0.2%の高濃度で含有した洗口液が使用されている。一方、日本では、アナフィラキシーショックの発症以来、グルコン酸クロルヘキシジンの濃度は0.05%以下とされ効果は十分でない。また、使用時は濃度を薄めることを推奨しており、実際の濃度は0.0001~0.0025%となる。そこで、新たな薬用液体歯みがきとして開発した。特徴は、20秒以上口に含むことで、肺炎球菌・桿菌、歯周病菌、虫歯菌に殺菌効果が期待できる点だ。

カンジタ菌にも殺菌効果、誤嚥性肺炎の予防にも

薬用液体歯みがきの設計コンセプトは次の4つ。1)持続殺菌成分「塩化セチルピリジニウム(CPC)」と、浸透殺菌成分「イソプロピルメチルフェノール(IPMP)」によるハイブリッド殺菌効果。2)アルコールを使用しない低刺激性。3)口腔内の菌の繁殖を抑える保湿性の確保(低粘度の「とろみ」の設定)。4)インプラント治療後のケアにも使えるようフッ化ナトリウム(NaF)無配合。CPCとIPMPをハイブリッドで配合することと、「とろみ」で殺菌成分を留めることにより、カンジダ菌にも10分以上で殺菌効果が示されたという。

同製品は人工呼吸器関連肺炎(VAP)予防の口腔ケア用として開発したが、一般歯科診療における高齢者の口腔の感染症や誤嚥性肺炎の予防として、また在宅ケア患者のセルフケアとしても使用できる。販売は、2019年7月から医療機関(病院や歯科医院)向けに行う予定。希望者は、取り扱う医療機関より購入してほしいとしている。

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