医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > CAR-T療法に関する3つの研究提携契約を締結-武田薬品

CAR-T療法に関する3つの研究提携契約を締結-武田薬品

読了時間:約 1分51秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2019年01月09日 PM01:00

がん免疫領域における新たな研究提携契約を3社と提携

武田薬品工業株式会社は1月7日、がん免疫領域における新たな研究提携契約を締結したと発表した。発表された提携は以下の3つ。

1つ目は、米Memorial Sloan Kettering Cancer Center()との提携。武田薬品は、MSK社と共に多発性骨髄腫、急性骨髄性白血病、その他の固形がんでの効能に向けた新規キメラ抗原受容体T細胞()療法の創出と開発に関する共同研究を実施する。この共同研究の共同リーダーは、CAR-T療法のパイオニアとして知られる、MSKのCenter for Cell Engineeringの所長で、Juno Therapeutics.のサイエンティフィックファウンダーであるMichel Sadelain氏が務める。

2つ目は、ノイルイミューン・バイオテック株式会社(ノイル社)との、2017年9月に開始した既存の共同研究におけるオプションの行使。この共同研究の成果を受けて、武田薬品はノイル社が開発した“Prime(Proliferation-inducing and migration-enhancing)”CAR-Tプラットフォームを活用した、各種固形がんを治療標的とするNIB-102およびNIB-103の独占的ライセンスを取得し、今後、これらのCAR-T細胞療法の共同開発を進めるという。-102については、臨床第1相試験が年内に開始される予定。

3つ目は、英Crescendo Biologics社が持つオンコロジー領域におけるHumabody(R)技術の独占的ライセンスのオプション行使(2018年11月5日付で行使済み)と、それによる新規CAR-T治療の開発に向けたHumabody VHs(完全ヒト型VHドメイン)のさらなる評価だ。この開発により、標的腫瘍に結合するシングルドメイン抗体のユニークな性質を従来の一本鎖抗体(scFV)に基づくアプローチに代わる治療法して、活用可能となるという。

新組織「」を設立

武田薬品が進める次世代細胞療法の多様化は、血液がんと肺がん、がん免疫の3領域で進められている。今回、同社は生体工学、CMC(化学・製造・品質管理)、臨床およびトランスレーショナル研究の専門家からなる社内グループとして、Translational Cell Therapy Engineを設立。同グループは、Pharmaceutical SciencesおよびTranslational Cell Therapy EngineのHeadであるStefan Wildt氏がグループを率いるという。

同社は、新たに立ち上げたこのTranslational Cell Therapy Engineと社外パートナーとの連携を通じて、細胞療法のコンセプトを臨床現場に迅速に届けることを目的に、今後数年で早期開発パイプラインを拡充させる予定としている。(大場真代)

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 双極症、RNF216のコピー数バリアントと有意な関連を発見-名大ほか
  • 未病早期発見や遠隔診断に向けたAI活用マルチモーダルセンサパッチ開発-北大ほか
  • SGLT2阻害薬、腎臓の酸素状態改善で腎保護の可能性-大阪公立大ほか
  • 「働きすぎの医師」を精神運動覚醒テストにより評価する新手法を確立-順大ほか
  • 自己免疫疾患の発症、病原性CD4 T細胞に発現のマイクロRNAが関与-NIBIOHNほか