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口腔EBウイルス陽性高悪性度B細胞腫瘍は予後良好-東京医歯大

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2017年11月27日 PM01:45

予後良好な疾患群「」に該当

東京医科歯科大学は11月21日、細胞学的には高悪性度を示す口腔内原発のB細胞性腫瘍性病変はEBウイルスの感染の有無によって予後に明確な違いがみられ、WHO分類で新たに提唱された予後良好な疾患群「EBV陽性粘膜皮膚潰瘍」に該当することを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科包括病理学分野の山本浩平助教、立澤杏奈大学院生、口腔病理学分野の大畑八重大学院生、顎顔面外科の大山厳雄助教らの研究グループによるもの。研究成果は「Human Pathology」に掲載されている。


画像はリリースより

Epstein-Barrウイルス(EBV)は、さまざまな悪性リンパ腫やリンパ増殖性疾患の発症、進展に関与する。代表的な亜型として、EBV陽性びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(EBV陽性DLBCL)、メソトレキサートなどの薬剤関連性の異常リンパ球増殖(医原性リンパ増殖性疾患)などのB細胞性腫瘍が挙げられる。

口腔におけるリンパ球系腫瘍のうち、B細胞性腫瘍は90%を占め、ほとんどが細胞学的に高悪性度であるDLBCL様の像を示す。しかし、口腔に発症する細胞学的に高悪性度を示すB細胞性腫瘍の病態や実際の臨床像、とくにEBV感染の有無による病態の違いについては、これまで詳細な検討がなされておらず、不明のままだった。

陽性症例は化学療法や免疫抑制剤の中止などで全例長期寛解

研究グループは、これまでにDLBCLや高悪性度リンパ増殖疾患と診断された口腔の症例について、EBV感染の有無に着目して臨床病理学的な解析を実施。その結果、EBV陰性群では、死亡や再発といった予後不良症例が含まれるのに対し、陽性症例は悪性リンパ腫の代表的な化学療法であるR-CHOP療法や、背景疾患の関節リウマチに対する免疫抑制剤の中止などにより全例長期寛解が得られ、いずれも予後良好であることが明らかになった。

さらに、EBV陽性群はすべて、2016年WHO分類で新たに提唱された「EBV陽性粘膜皮膚潰瘍()」に相当し、その細胞学的な特徴である腫瘍細胞の大小不同、つまり多形性像を全例有することを証明。また、EBV陰性群では約33%に細胞増殖シグナル因子のNFκB関連遺伝子やエピゲノム関連遺伝子に遺伝子変異があるのに対し、EBV陽性群ではこのような遺伝子変異は見られなかったという。

今回、明らかとなった特徴的な細胞像と腫瘍細胞のEBウイルス感染などの病理学的な観点から、高悪性度B細胞性リンパ腫と診断されていた症例にEBVMCUが含まれることを証明し、通常の病理診断においてもEBVMCUの特異的診断が可能であることが示唆された。EBVMCUは、無治療で自然軽快する症例が報告されており、さまざまな理由で化学療法が行えない、あるいは化学療法による副作用のリスクが高い症例においても、経過観察など患者にとって負担の少ない治療法を選択できる可能性がある。今後、EBV陽性粘膜皮膚潰瘍を正しく病理診断できることにより、患者のQOL向上が期待される、と研究グループは述べている。

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