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【医薬・生活衛生局】新薬開発に実臨床データ、1億円計上で活用検討へ-18年度概算要求

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2017年08月28日 AM10:30

厚生労働省医薬・生活衛生局の2018年度予算概算要求は、前年度比17.1%増の102億6200万円を計上した。実臨床のリアルワールドデータを活用した臨床試験を実施し、効率的な新薬開発を行うためのガイドラインを策定するための経費を新規で盛り込んだほか、ポリファーマシーなど高齢者の薬物療法の実態について、国のナショナルデータベース()から得られた副作用報告を解析するためのシステム改修経費を計上。かかりつけ薬剤師・薬局の機能強化に向けた予算も増額要求し、新たなテーマ別モデル事業に薬薬連携の研修を追加する。

■かかりつけ強化は増額要求

医薬・生活衛生局の概算要求は、約2割の増額を求めた。革新的な医薬品等の迅速な実用化には、推進枠を生かして大幅増額の6億5400万円を要求。新規で実臨床での各種データの活用による革新的医薬品の早期実用化に1億0600万円を計上した。

欧米では、被験者の少ない難病、希少疾患の新薬開発において実臨床のリアルワールドデータを活用した効率的な臨床試験が実施されているが、最近わが国でも医療情報データベースの整備が進んできたことから、リアルワールドデータを活用した新薬開発に関するガイドラインを策定し、早期の実用化につなげる。

来年、)に設置予定のレギュラトリーサイエンスセンターでガイドライン策定業務を行うことにしており、そのためのPMDAの体制強化費用として盛り込んだ。

(ARI)の未承認薬迅速実用化に新規で1900万円を計上。政府の薬剤耐性(AMR)対策アクションプランに基づき、20年までに求められている抗菌薬の国際共通臨床評価ガイドラインの策定に向けて、欧米との議論を本格化すると共に、実用化スキームの拡充や薬事戦略相談の実施体制などを整備する。

薬剤師関連では、かかりつけ薬剤師・薬局の普及・機能強化に2億3800万円を要求。昨年度に引き続き、全国の薬剤師・薬局がかかりつけ薬剤師・薬局として地域包括ケアに貢献できるようテーマ別のモデル事業を実施する。

モデル事業は、多職種連携を必須テーマにした上で新たに薬薬連携の研修を実施する。また、好事例の横展開を目的に地域ブロックごとの協議会開催を支援するほか、患者・国民視点でのかかりつけ薬剤師・薬局の取り組みを調査し、「患者のための薬局ビジョン」の早期実現を目指す。

医薬品等の安全対策の強化には12億6300万円を要求。推進枠を生かし、新規で高齢者の薬物療法における安全対策の推進に2億1200万円を計上した。高齢者に薬が多剤投与されるポリファーマシーの増加により、副作用の増強や薬物相互作用などの問題が見られることから、国のNDBから得られた副作用報告などのデータを解析し、高齢者の薬物療法の実態把握や安全対策を進めるため、PMDAのシステム改修や適正使用ガイドラインを作成する。

さらに、C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品が流通したことを受け、医薬品販売業者に対する指導の充実・強化に新規で2400万円を計上。都道府県の担当職員による合同模擬査察、研修をブロック単位で実施すると共に、年2回程度の全国講習会を実施し、監視指導業務の標準化を図る。

 

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