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臓器の芽を作製する革新的な培養手法を確立-横浜市大

読了時間:約 1分6秒
2015年04月20日 PM12:45

立体的な器官原基を人為的に創出する汎用的な培養手法

横浜市立大学先端医科学研究センターは4月16日、同大大学院医学研究科臓器再生医学の武部貴則准教授と谷口英樹教授、埼玉大学大学院理工学研究科の吉川洋史准教授らの共同研究グループが、立体的な器官原基(臓器の芽)を人為的に創出する汎用的な培養手法を確立したことを発表した。この研究成果は、米科学雑誌「Cell Stem Cell」オンラインに同日付で掲載されている。


画像はプレスリリースより

研究グループが2013年に報告した「ヒトiPS細胞から肝臓原基を形成する培養手法におけるメカニズム」を詳細に解析したところ、立体的な肝臓原基の作製には、間葉系細胞の存在と、培養系における物理的な外部環境(硬さ環境)の最適な条件設定により、多細胞集団が収縮現象を引き起こすことが必須であると判明したとしている。

新たな医薬品開発ツールとしての応用に期待

このメカニズムを他器官の作製に応用した結果、肝臓のみならず、膵臓、腎臓、腸、肺、心臓、脳から分離した細胞から3次元的な器官原基を創出することに成功。創出された3次元器官原基は、移植後すみやかに血流を有する血管網を再構成するのみならず、機能的な組織を自律的に形成することが明らかとなったという。代表事例として、尿を産生する腎組織や、糖尿病治療効果を有する膵組織を生み出すことに成功している。

今回の研究成果は、今後さまざまな器官の再生医療を目指す上で画期的な技術基盤となるのみならず、新たな医薬品開発のツールとしての応用が期待される。研究グループは、世界中に数万人規模で存在する、ドナー臓器を待ちながら亡くなる臓器不全症の患者を一人でも多く救済するために、ヒト臓器製造に向けた研究開発を加速するとしている。

▼外部リンク
横浜市立大学 プレスリリース

 

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