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日本人に特徴的な発がん要因の存在を推定-国立がん研究センターら

読了時間:約 1分5秒
2014年11月11日 PM05:45

日本人を中心とした大規模な肝細胞がんゲノム解読を実施

独立行政法人 国立がん研究センターと国立大学法人東京大学は11月3日、米ベイラー医科大学と共同で、日本人を中心とした大規模な肝細胞がん症例のゲノム解読を実施し、高頻度な遺伝子異常の発見、日本人に特徴的な発がん要因の存在の推定に成功したと発表した。


画像はプレスリリースより

これは、国立がん研究センター研究所 がんゲノミクス研究分野長で東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター ゲノムシークエンス解析分野の柴田龍弘教授、東京大学先端科学技術研究センター ゲノムサイエンスの油谷浩幸教授らによる研究成果で、英科学誌「Nature Genetics」オンライン版に11月2日付で掲載されている。

テロメラーゼ遺伝子異常が高頻度で発現

今回の研究では、日本人413例、米国人90例の肝細胞がん患者のがん組織・正常組織について全エクソン解読、一部の症例については全ゲノム解読を実施。その結果、肝細胞がんの発生に重要な30個のドライバー遺伝子を同定し、テロメラーゼ遺伝子異常が約70%と高頻度で発現していることを発見したという。

また、今回のデータから抽出できた3種類の変異パターンについて、人種別グループで解析したところ、1つの変異パターンは日本人の肝細胞がんに特徴的なものであることが判明。人種背景と強い相関を示すことが判明した。

プレスリリースでは、今回の研究成果について

肝細胞がんにおけるB型、C型肝炎ウイルス以外の原因や人種差の解明に寄与しうる重要な研究と考えます。また、この研究をきっかけに、治療薬の少ない本疾患においても新しい有効な薬剤開発が推進することが期待されます。

と述べられている。

▼外部リンク
独立行政法人 国立がん研究センター プレスリリース

 

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