医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 日立と北大 共同開発による陽子線治療装置、製造販売承認取得

日立と北大 共同開発による陽子線治療装置、製造販売承認取得

読了時間:約 1分18秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2014年03月17日 PM04:15

コンパクトかつ低コストな新タイプの陽子線がん治療システム

株式会社日立製作所と北海道大学は3月7日、共同開発を進めてきた「陽子線治療装置 PROBEAT−RT」について、薬事法に基づく医療機器の製造販売承認を取得したと発表した。2013年度中にも、同システムを使用した治療が北大で開始される予定という。

「陽子線治療装置 PROBEAT−RT」は、陽子線がん治療の世界的な普及を目指し、日立と北海道大学が共同開発した、コンパクトかつ低コストな陽子線がん治療システム。この開発事業は、2010年に国家プロジェクト「最先端研究開発支援プログラム」の採択を受けている。

採択時のテーマは、北海道大学医学研究科・白土博樹教授の「持続的発展を見据えた『分子追跡放射線治療装置』の開発」。2010年の同プログラムでは、放射線医療分野として唯一の採択だったという。

(この画像はイメージです)

それぞれの技術を組み合わせ、小型化を実現。普及に期待

同システムでは、腫瘍を照射する陽子線のビームを拡散させる従来の方式ではなく、細い状態のまま用い、照射と一時停止を高速で繰り返しながら順次位置を変えて陽子線を照射するスポットスキャニング照射技術を用いた方式に特化。

これに、北大のもつ放射線治療で培ってきた知見と、日立のもつ設計技術を融合させ、ガントリー・照射ノズル・加速器を小型化。さらに装置の機器配置を見直し、大幅な全体のコンパクト化を実現した。日立による従来の「PROBEAT−III」と比較すると、システム全体の設置面積は約7割に縮小されているという。

スポットスキャニング照射技術により、複雑な形状をした腫瘍でも、その形状に合わせて高い精度で陽子線を照射することができ、正常部位への影響を最小限に抑えることも可能となっている。

北大と日立では、医学・工学分野における両者の技術や知識、経験を組み合わせ、今回の陽子線がん治療システム開発を通じ、QOLに優れた最先端の放射線医療およびがん治療に貢献していきたいとしている。(紫音 裕)

▼外部リンク

北海道大学 プレスリリース
http://www.hokudai.ac.jp/140307_pr_med.pdf

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • OTULIN関連自己炎症症候群の常染色体顕性遺伝形式発症を確認、世界初-横浜市大ほか
  • 膵がん、線維化形成に関与するタンパク質ROCK2を同定-岡山大ほか
  • EYS関連網膜色素変性に視細胞変性への光暴露が関与、ヒトiPS細胞で解明-理研ほか
  • NGLY1欠損症、オキシトシン治療でモデルマウスのけいれん様症状抑制-理研ほか
  • 汗孔角化症、FDFT1遺伝子のエピゲノム異常が発症に関わることを発見-神戸大ほか