医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > テクノロジー > 「体内時刻」を血液から検出 患者の負担軽減へ 理化学研究所らの研究グループ

「体内時刻」を血液から検出 患者の負担軽減へ 理化学研究所らの研究グループ

読了時間:約 1分29秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2012年08月30日 AM09:00
患者を長時間の拘束から解放

理化学研究所と慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究グループは、ヒトの生体内で24時間周期を刻む体内時計が示す「」を、患者から採取した血液から容易に測定できる方法を開発したと発表しました。

今まで体内時計が指す時刻(体内時刻)を調べるには、患者を長時間拘束し、連続した組織採取が必要でしたが、この手法を利用することで簡単に「体内時刻」を診断することが可能となります。

この研究成果は、米国の科学アカデミー紀要『Proceedings of the National Academy of Sciences』オンライン版に、2012年8月27日の週に掲載される予定とのことです。

(プレスリリースより引用)

体内時計が関わる障害の診断や治療薬の開発などへ期待

研究グループでは、植物学者カール・フォン・リンネが考案した「リンネの花時計」を参考に、簡単に「体内時刻」を診断することができる「分子時刻表法」を開発しました。

この「分子時刻表法」では、まず食事サイクルや生活サイクルの影響を受けやすい代謝産物が含まれず、外的要因による影響の少ない「時刻指示物質」だけを選択するために、健康な被験者に、36時間コンスタントルーチンと呼ばれる一定の環境条件下で過ごしてもらいます。

そして、2時間おきに採取した血液から、24時間周期で量が変化する代謝産物を特定し、「分子時刻表」を作成しました。

そして次に、強制的に体内時刻をずらした6人の被験者の血液を採取して代謝産物量を測定し、この時刻表に照らし合わせて「体内時刻」を推定。すると、従来法で調べた「体内時刻」と、ほぼ同じ時刻を推定できることが確認できました。

研究グループでは、

簡単に体内時計を診断することができ、治療だけでなくリズム障害に関わる治療薬の開発につながる。また、適切な時間に薬を飲むことで最大の治療効果を得るという「時間治療」においても体内時刻の個人差を調べる方法として利用が期待できる。

とコメントしています。

▼外部リンク

プレスリリース
http://www.riken.jp/r-world/info/release/


http://www.riken.jp/index_j.html

慶應義塾大学先端生命科学研究所
http://www.iab.keio.ac.jp/jp/component/

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 テクノロジー

  • 幼児の睡眠改善アドバイスアプリ「ねんねナビ」にAI追加搭載、有用性を確認-阪大ほか
  • ステージ4肺がん、電カルデータから高精度に予後予測するAIを構築-近大ほか
  • ペット型ロボットは、無菌室での長期療養患者への心理面支援に「有効」-東京医科大
  • 介護保険の質疑応答、生成AIチャットボットのシステムを開発-岡山大
  • 視覚障害者を支援、AI活用の写真撮影システム「VisPhoto」開発-大阪公立大ほか