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膵臓の外分泌組織、極端に少ないマウスは糖尿病に-京大

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2016年02月23日 PM01:00

内分泌組織の分化・増殖/維持・成熟が阻害

京都大学は2月18日、膵臓の外分泌組織が極端に少ないマウスを作成・解析した結果、内分泌組織の分化・増殖/維持・成熟が阻害され、糖尿病になることを示したとする研究成果を発表した。この研究は、元京都大学iPS 細胞研究所研究員で、現滋賀病院医長の児玉創太氏らの研究グループによるもの。研究成果は、英科学誌「Scientific Reports」に、英国時間の2月18日付けで公開された。


画像はリリースより

膵臓は、さまざまな消化酵素を含む膵液を腸に送り出す外分泌組織と、糖代謝を調節するホルモンを血中に放出する内分泌組織という2つの異なった組織がひとつの臓器内に混在する臓器。これまでの発生学研究から、胎生期の膵臓で樹枝状に枝別れした膵管構造が形成され、その先端部分から外分泌組織が、幹部分から内分泌組織がほぼ同時にできることがわかっていたが、両者の相互関係は解明されていなかった。

研究グループは、より良い膵島()細胞を作製し、発生過程と同様に、外分泌細胞と同時に作製するべきではないか、と仮設を立てた。これを検証するため、膵臓の外分泌組織が極端に少ないマウスを用いて解析を行い、内分泌細胞の形成への影響を調べた。

内分泌組織から外分泌組織に働きかける因子解明へ

その結果、内分泌細胞ができる膵管枝分かれ構造の幹部分も影響を受け、内分泌細胞が少なくなると同時に細胞の成熟化も遅れ、インスリンを十分に分泌できないため、マウスは糖尿病になった。外分泌組織で作られる未知の因子が、内分泌組織の形成と機能を獲得する過程に重要な働きをしていることがわかった。

今回の研究成果により、iPS細胞を用いた糖尿病に対する再生医療の開発で、内分泌組織だけでなく、外分泌組織も同時に作製するほうがよいと考えられる。今後、外分泌組織から内分泌組織に働きかける因子を解明することで、さらに機能的な膵島細胞の作製が期待できる、と研究グループは述べている。

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