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オキシトシン末梢投与による摂食抑制と肥満改善の新経路を発見-自治医大

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2015年01月21日 PM01:30

迷走神経による脳への情報伝達という新規経路を見出す

自治医科大学は1月15日、同大統合生理学部門の岩﨑有作助教、矢田俊彦教授らが、マウスを用いた実験から、末梢投与したオキシトシンが「求心性迷走神経」を直接活性化して脳へ情報伝達し、摂食を抑制する新規経路を発見したと発表した。


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この研究成果は、2月1日に学術雑誌「American Journal of Physiology – Regulatory, Integrative and Comparative Physiology」に掲載予定で、昨年12月24日よりArticles in pressとしてオンライン掲載されている。

研究グループは以前の研究で、オキシトシンを末梢(腹腔内)から投与すると、摂食を抑制し肥満を改善することを報告していた。近年、肥満および自閉スペクトラム症患者に対するオキシトシンの経鼻(鼻腔内)投与の臨床試験が行われているが、血中のオキシトシンは脳内に移行しにくいとの報告があり、その腹腔内及び経鼻の末梢投与が脳に情報を送る経路は不明のままだった。

・過食に対する有効な治療経路となることを示唆

今回の研究では、オキシトシンはマウスから単離した求心性迷走神経細胞を活性化した。さらに、オキシトシンをマウスの腹腔内に投与すると、求心性迷走神経の投射先である延髄孤束核を活性化し、摂食を抑制。これらの作用は求心性迷走神経の遮断により消失したという。

また、脂肪細胞由来ホルモンのレプチンは食欲抑制・代謝亢進作用を持ち、レプチン抵抗性が肥満の成因に深く関わっているとされる。今回、レプチン抵抗性のdb/dbマウスにおいても、オキシトシンは求心性迷走神経を活性化し、過食を抑制し、肥満を改善したという。

この研究結果は、オキシトシン末梢投与による求心性迷走神経の活性化が、摂食を抑制し、肥満・過食に対する有効な治療経路となることを示している。また、ヒトで臨床試験が行われているオキシトシン経鼻投与による肥満および自閉スペクトラム症治療において、迷走神経が脳への情報伝達の主要な経路となっている可能性を示すとしている。

▼外部リンク
自治医科大学 研究情報

 

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