血管機能改善効果が知られるカカオポリフェノール、運動後の影響を検証
株式会社明治は11月27日、高強度のレジスタンス運動(筋力トレーニング)前に高カカオチョコレートを摂取することで、運動により増加する動脈スティフネス(動脈の硬さ)が速やかに低下することを明らかにしたと発表した。この研究は、同社と日本体育大学体育学部の岡本孝信教授の研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Exercise Science & Fitness」に掲載されている。

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高カカオチョコレートはカカオポリフェノールを多く含み、これらが血管機能を改善することが知られている。今回の研究では、カカオポリフェノールを含む高カカオチョコレートと、含まないホワイトチョコレートを摂取した場合に、健康な若年男性が高強度レジスタンス運動後に示す動脈スティフネスの変化を比較調査した。
チョコレート摂取後に高強度運動を実施し、動脈の硬化度を測定
研究には12人の健康な若年男性(平均年齢23歳)が参加し、ランダムな別日に高カカオチョコレート50gまたはホワイトチョコレート50gを摂取した。なお、高カカオチョコレートにはカカオポリフェノールが1,285mg含まれ、ホワイトチョコレートには含まれていなかった。
それぞれのチョコレートを摂取後、全員がベンチプレス(1回最大挙上重量の80%の重さで5回×5セット)とアームカール(1回最大挙上重量の70%の重さで10回×5セット)の運動を行った。
チョコレートを食べる前(基準値)、摂取60分後(運動前)、運動直後、そして運動終了後30分と60分に、動脈の硬化度を測定するため、「上腕‐足首間脈波伝播速度(baPWV)」や動脈の柔軟性指標(動脈コンプライアンス)、動脈硬化度指標(β-スティフネス)などを測定した。
高カカオチョコ、運動後30分で動脈スティフネスが有意に回復
結果、動脈スティフネスの指標である「上腕‐足首間脈波伝播速度(baPWV)」は、運動前と比較して有意な増加が認められ、高カカオチョコレート摂取群では運動後30分で、ホワイトチョコレート摂取群よりも有意に低下した。
中心動脈(頸動脈など)における動脈の柔軟性指標(動脈コンプライアンス)や動脈硬化度指標(β-スティフネス)については、高カカオチョコレート摂取による有意な改善効果は認められなかった。このことから、高カカオチョコレートの摂取効果は主に末梢動脈に現れ、中心動脈には影響しなかったと考えられる。
運動による血管への負担を軽減する可能性
レジスタンス運動は、サルコペニアなどの予防に有効な方法として推奨されている。しかし、特に高強度のレジスタンス運動では動脈スティフネスが増加し、心臓や血管への負担となることが知られている。したがって、運動により増加した動脈スティフネスを速やかに低下させることは、血管への負担を軽減し、運動の恩恵を受けることにつながると期待される。
「今後も高カカオチョコレートによる血管機能改善の研究を通じて、“こころとからだの健康”に貢献したい」と、研究グループは述べている。
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