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【精神神経センター病院】アマンタジンを半量誤投与-廃棄ルール守らず再利用

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2021年06月14日 AM10:30

国立精神・神経医療研究センター病院は10日、「アマンタジン塩酸塩」について、100mg錠の処方内容にも関わらず50mg錠を患者2人に誤投与していたことを公表した。患者の健康状態に影響はなく、一包化後に処方変更された薬剤を廃棄する原則を守らずに再利用したことが原因としている。高額医薬品も含めて廃棄ルールの遵守を徹底するなど、再発防止策に取り組む方針。

今回の誤投与は、脳梗塞の後遺症患者とパーキンソン病患者の計2人に、杏林製薬の「アマンタジン塩酸塩錠100mg『杏林』」を投与する処方内容にも関わらず、実際には同錠50mgが調剤され、服用していたというもの。

アマンタジンは、脳梗塞後遺症に伴う意欲・自発性低下の改善、パーキンソン症候群などを効能・効果としている。今回、脳梗塞後遺症の患者には退院時処方として100mg錠が35日分出され、同院に入院中のパーキンソン病患者には同錠が計13日分処方されていたが、実際には調剤後に50mg錠が混入していた。患者が服用した50mg錠は計16錠だが、各患者の服用数は不明である。

1日に自動錠剤分包機で他患者の処方内容への一包化作業を行った際、100mg錠を充填するカセット内に50mg錠が入っていたことが判明。分包機の履歴を調べたところ、分包後に処方変更されて廃棄予定だった50mg錠が資産を有効活用する観点から再利用され、100mg錠のカセットに誤って充填されたことが原因としている。

分包後の処方変更で不要となった薬剤は、廃棄する原則としているが、1錠300円以上の内服薬といった高額医薬品については、分包機のカセットに戻して再利用する場合もあったという。

翌2日に処方医が患者の体調を確認したところ、いずれも変化は見られなかった。脳梗塞後遺症の患者には薬剤の交換を提案したが、患者は交換を希望しなかった。

同院は再発防止策として、高額医薬品を含め不要となった薬剤全てを廃棄し、分包機が持つチェック機能を生かして薬剤の確認を徹底するとした。厚生労働省には7日に今回の事案を報告し、関係者に厳正に対処する方針としている。

阿部康二病院長は、「このような事態を招いたことは極めて遺憾で、患者に深くお詫びする。一包化した薬剤はいかなる場合でも再利用しないとの取り決めに基づいた再発防止策に一層努める」と謝罪した。

 

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