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TMRセンサ利用で体性感覚誘発磁界を計測、てんかん診断精度向上に期待-東北大ほか

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2022年04月15日 AM11:30

室温で作動、液体ヘリウムによる冷却が不要なTMR素子を用いて

東北大学は4月14日、トンネル磁気抵抗(Tunnel MagnetoResistive Sensors:TMR)センサを利用した体性感覚誘発磁界の計測に、世界で初めて成功したと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科てんかん学分野の中里信和教授と、同大学大学院工学研究科応用物理学専攻の安藤康夫教授の研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」電子版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

脳磁計は、脳の電気活動に伴う微弱な磁場変化を計測する装置で、さまざまな脳機能を非侵襲的に測定することができる。脳磁図は、超伝導センサを用いて脳の機能診断や、てんかんの原因部位の検査に用いられてきた。しかし、センサの性能を十分発揮するためには超低温の液体ヘリウムによる冷却が必要であるため、装置の大型化が避けられない。また、厚みのあるヘリウム容器にあわせて形状が固定されたヘルメット型装置へ頭部を挿入しなければならず、磁場センサを十分に頭皮に近づけることができなかったため、磁場源推定精度が十分には発揮されていない。

今回、研究グループは、室温で作動し液体ヘリウムによる冷却が不要なTMR素子を用い、健常者の左手首の正中神経を電気刺激した際に右大脳の体性感覚野から発生する超微弱な脳磁図を計測することに世界で初めて成功した。

頭皮に密着で脳磁図の空間的精度が向上、小型かつ製造コスト安価などの利点

TMRセンサを用いる利点は、頭皮に密着できるため脳磁図の空間的な精度が向上すること、小型でかつ製造コストが安価であること、外部雑音に強いこと、SQUID脳磁計に必要な年間数千万円の液体ヘリウムが不要であることなどが挙げられる。

研究グループの中里信和教授は、東北大学で1987年から脳磁図の研究に取り組んできた。今回の研究結果は、従来の超伝導磁気センサの問題を解消する画期的な技術だという。同研究で用いたTMR素子は、大学院工学研究科の安藤康夫教授らのグループが、スピンセンシングファクトリーおよびコニカミノルタと共同で開発してきたものであり、感度の点で世界最高記録を更新し続けているとしている。

多点での計測が可能な脳磁計開発実用化に期待

今回、微弱な脳磁図が測定できたことにより、普及型TMR脳磁計の実現の可能性が出てきた。TMRセンサは外部雑音にも強く、特殊な磁気シールド室から出て、普段の日常生活の中での脳の機能を調べ、てんかんなどの診断が可能となることが期待される。

また、製造コストが安価で大量生産も可能であり、将来的に安価で持ち運びできる、多点での計測が可能な脳磁計の開発実用化が期待される、と研究グループは述べている。

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