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神経炎症を抑制する新規化合物「アルジャーノン2」を発見-京大

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2020年11月17日 PM12:00

進行性神経脱落を示す神経変性疾患の画期的治療薬が待たれている

京都大学は11月16日、神経炎症を抑制する新規化合物アルジャーノン2を見出したと発表した。この研究は、同大医学研究科の小林亜希子助教、萩原正敏教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Science Advances」のオンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

脳には神経細胞とそれを支えるグリア細胞が存在し、通常グリア細胞は神経細胞を栄養し、保護している。なかでもミクログリア(小膠細胞)といわれるグリア細胞は病原菌や損傷に対して異物を排除し、サイトカインを放出し免疫応答を増強している。ところが病的な状態ではミクログリアは過剰に活性化し、亢進したサイトカイン産生により 「」を引き起こしてしまう。この 「」はアルツハイマー病やパーキンソン病などの進行性神経変性疾患の特徴といわれている。アルツハイマー病やパーキンソン病はある特定の神経細胞が徐々に脱落する疾患だが、これらの進行性神経脱落を示す神経変性疾患の画期的な治療薬が待たれているのが現状だ。

アルジャーノン2はPDモデルマウスでドパミン神経細胞の脱落を緩和

今回、研究グループは、神経変性疾患の進行に関与する神経炎症を抑制する化合物アルジャーノン2を取得した。神経炎症により引き起こされるパーキンソン病モデルマウスにおいてアルジャーノン2の薬効を評価したところ、アルジャーノン2投与によりミクログリアの活性化が抑制され、ドパミン神経細胞の脱落が緩和された。また、アルジャーノン2によりサイトカイン産生が抑制され運動機能の回復も観察された。このことからアルジャーノン2は神経炎症を抑制し神経細胞死を抑制していると考えられた。

移植されたiPS細胞由来ドパミン神経前駆細胞の生存率も改善

そこで研究グループは、組織移植時に起こるとされている炎症・免疫応答が緩和されることを期待し、iPS細胞から作製したドパミン神経前駆細胞の脳への移植時にアルジャーノン2を投与した。その結果、アルジャーノン2投与により移植されたドパミン神経前駆細胞の生着が促されていることを発見。以上の結果から、アルジャーノン2は活性化したミクログリアからのサイトカイン産生を抑制することで神経炎症を抑制し、神経細胞死を抑制すると考えられた。

神経幹細胞とグリア細胞で転写因子Nrf2を安定化、幅広い疾患適用に期待

アルジャーノンは、当初ダウン症でみられる低下した神経新生を促進する化合物として同定されたが、今回の研究結果では神経幹細胞に加えてグリア細胞において細胞周期因子サイクリンD1-p21の分解を抑制することにより、Nrf2という転写因子を安定化することが明らかとなった。Nrf2は炎症性サイトカイン産生を抑制する機能に加え、神経保護に寄与する遺伝子群の発現を誘導する。アルジャーノン2によりNrf2経路を活性化できれば、神経炎症の軽減に加えて神経保護効果も期待できる。現在、アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患に対する治療薬が待たれているが、アルジャーノン2について研究グループは、「パーキンソン病などの神経炎症による神経脱落疾患や組織移植の定着向上など、今後幅広い適用が期待される」と、述べている。

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