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質の高いてんかん診療を全国津々浦々で―遠隔症例検討会による医療者教育

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2019年04月03日 PM02:00

てんかんの医療者教育をオンラインで。東北大学病院の試み

(一般名:レベチラセタム)」を製造販売するユーシービージャパン株式会社は3月22日、都内でてんかんプレスセミナーを開催。「テレビ会議システムを活用した医療者教育とオンライン診療―遠隔てんかん症例検討会の教育的意義を中心に―」と題し、東北大学大学院医学系研究科てんかん学分野講師の柿坂庸介氏が講演した。


東北大学大学院 医学系研究科 てんかん学分野
講師 柿坂庸介氏

てんかんは、意識消失を伴うような全般発作だけでなく、複雑部分発作のような一見するとてんかん発作とわかりにくい症状を呈することがあり、非専門医には診断が難しい疾患だ。人口当たり0.8~1.0%という有病率に比して専門医の数が約700名と少なく、非専門医が診療にあたる機会の多い疾患でもある。新規抗てんかん薬のラインナップも充実し、治療選択肢は増えたものの、適切な診断がなされなければ有効な治療を行えず、患者の治療機会が損なわれる結果ともなりかねない。

こうした状況を改善するため、東北大学病院ではてんかん専門医の少ない地方都市や発展途上国での、てんかんに通じた医師の養成を目指し、2010年から「てんかん症例検討会」を実施、2013年からは遠隔会議システムを導入し、オンライン中継を開始した。

遠隔講義と対面講義、受講者の理解度に差はなし

同プロジェクトでは、てんかん診療に苦手意識を持つ参加者を対象に、2015年から発作症状に関する遠隔講義を開催している。症例検討会への参加前に講義を聴講してもらうことで、症例検討会でのディスカッションへの理解を深める目的だ。柿坂氏は2018年、同講義の効果のほどを検討し、専門誌に報告した。対面で講義を受けた群と、遠隔で講義を受けた群で、講義前と比べて症例検討会への理解度がどのように変化したかを比較したところ、両群の理解スコアに差は認められず、遠隔式の講義には対面式と同等の効果あることが認められたという。

遠隔会議システムを活用することで、柿坂氏ら東北大学病院の症例検討会には、全国各地の医療機関から参加があるという。症例検討会は月1回のペースで開催されており、1症例につき30分以上をかけて詳細にディスカッションが行われる。地方の医療機関で、てんかん患者数が多くなく、経験する症例数が限られているような場合でも、同院の症例検討会を通じて経験値を増やすことができる仕組みだ。遠隔講義の導入により、症例検討会の教育効果が向上し、地方におけるてんかん診療の質向上への貢献も期待できるという。

遠隔式であることから、同検討会へは世界各地から参加が可能だ。現在は、遠隔会議システムを診療に活用するまでには至っていないが、2018年度の診療報酬改定にて「」が新設されたことから、今後のさらなる展開が期待される。(QLifePro編集部)

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