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高齢期の社会的孤立と閉じこもり傾向で6年後の死亡リスク約2倍-都長寿研

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2018年07月31日 PM01:15

2008~2014年に埼玉県和光市で行った郵送調査結果を検討

東京都健康長寿医療センター研究所は7月27日、日常の生活に問題のない健康な高齢者であっても、社会的な孤立と閉じこもり傾向が重積している者では6年後の死亡率が、どちらも該当しない者に比べて2.2倍高まることを明らかにしたと発表した。この研究は、同センター研究所の藤原佳典研究部長の研究グループによるもの。研究成果は、国際雑誌「International psychogeriatric」オンライン版に掲載された。


画像はリリースより

これまでの研究から、社会的孤立状態が高齢者の死亡率を高めることが知られている。社会的孤立状態は一致した定義が確立されていないが、今回は社会的孤立を他者との接触頻度に基づく客観的な状態から定義し、主観的な状態である孤独感あるいは孤立感とは区別した。また、外出頻度が低い状態(外出頻度が週1日以下)の閉じこもりも、同様に高齢者の死亡率の上昇に関連することが明らかになっている。しかし、これらの要因の重積が高齢者の健康にどのような負の相乗効果を与えるのかについては明らかではなかった。さらに、完全に閉じこもりになる前の、閉じこもり傾向(外出頻度が1日1回未満)の状態でも健康に悪影響をおよぼすかはわからなかった。

「交流なき外出」と「外出なき交流」共に気をつける必要が

今回、研究グループは、2008~2014年に埼玉県和光市で行った郵送調査結果を用いて検討を行った。公共交通機関の使用や日常品の買い物、食事の用意などの日常生活動作に問題のない健康な研究参加者を、社会的孤立および閉じこもり傾向の有無の組み合わせで4群に分け、6年間の死亡率の違いを調べた。なお、この研究では、同居家族以外との対面および非対面(電話やメールなど)のコミュニケーション頻度が両者を合わせても週1回未満の者を社会的孤立と定義。普段の外出する頻度(買い物、、通院など)が2~3日に1回程度以下の者(1日1回未満)を閉じこもり傾向と定義した。その結果、社会的孤立と閉じこもり傾向の両者に該当しない高齢者に比べて、両者が重積している高齢者では6年後の死亡率が2.2倍高くなり、社会的孤立と閉じこもり傾向どちらか一方のみに該当する者より死亡率が顕著に高くなることが判明したという。

これまでの研究では、高齢期の健康度(生存率など)に対する社会的孤立と閉じこもりの影響は別々に検討がされてきた。今回の研究結果は、これらの要因の一方だけが健やかな生活を脅かす危険因子なわけではなく、もしくは、どちらか一方の要因の影響が強いわけではなく、両者が重積している状態が問題であることを示している。これは孤立に伴うコミュニケーション・ソーシャルサポート面の欠乏と、閉じこもり傾向に伴う身体・・精神的不活動が相乗的に健康状態に影響をおよぼしていることを示唆しているという。

これらの結果から、高齢期の健康維持には社会的にも身体的にも活動的な生活が重要であり、「交流なき外出」と「外出なき交流」の両者に気をつける必要があるとしている。また、完全に閉じこもってしまう前の閉じこもり傾向の状態であっても健康におよぼす負の影響があるため、予防的な観点から早めの注意が必要だ、と研究グループは述べている。

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