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心不全患者における心血管イベント予測因子をデータマイニングで特定-国循

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2018年06月29日 PM12:00

個別要因が影響、発生リスクの検証が困難な心不全

国立循環器病研究センターは6月27日、心不全患者において心疾患発症による入院や死亡などの心血管イベント発生に関係すると考えられる多くのリスク因子を「」で解析し、心血管イベント予測因子の特定に成功したと発表した。この研究は、国循臨床研究部の福田弘毅医師、北風政史部長らの研究チームと、大阪大学産業科学研究所知能推論研究分野の鷲尾隆教授、北海道大学病院循環器内科の絹川真太郎講師、九州大学病院循環器内科の筒井裕之教授との共同研究によるもの。研究成果は、英専門誌「EBIoMedicine」に掲載された。


画像はリリースより

日本では、高齢化に伴い心不全の患者数は増加傾向にある。しかし、患者像は、弁膜症や心筋梗塞など原疾患の種類、高血圧や糖尿病など併存疾患の有無、喫煙や運動など生活習慣といった個別要因に影響されるため、非常に多岐にわたり、心血管イベント発生リスクも患者によって大きく異なるので、これまではどのような患者で心血管イベント発生リスクが高いのかの検証が困難であった。

関連性が高い2種類の因子が判明

研究グループは、国循と北海道大学病院と九州大学病院で心不全患者を登録し、心血管イベント発症までの期間と患者の臨床因子を調査。これらのデータを、データマイニング手法のうち無限次数多重検定法(Limitless arity multiple testing procedure:LAMP法)を用いて解析した。

LAMP法では年齢や性別、基礎疾患、検査所見、投薬内容など患者因子の組み合わせパターンのうち、心血管イベントが発生しやすいものを網羅的に検索。その結果、心不全の予後に影響する可能性がある組み合わせパターンは7万7,562通り見つかり、そのうち151通りが心血管イベントに有意に関連していることがわかったという。さらに、それらの組み合わせを精査した結果、「強心剤の使用」「利尿剤を使用し、かつ頻脈もしくは助脈を有しない」の2種類の因子が強く心血管イベントの出現に関係することが明らかになった。さらに、登録患者の追跡調査により、これらの因子が実際に患者の予後に影響することも確認した。

現在、ビッグデータ解析は特に自然科学分野で非常に注目を浴びているが、医療分野ではあまり広く用いられていない。今回の研究のように多くの心不全患者を対象にした医療ビッグデータを用いた解析手法が進められることで、心不全治療や心血管イベント発症予防につながる新しい発見がなされることが期待される。

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