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脊髄性筋委縮症患者の運動機能を定量評価する方法を開発-岐阜大

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2018年01月19日 PM12:30

体幹や四肢の筋力低下、筋委縮をもたらす指定難病

岐阜大学は1月17日、脊髄性筋委縮症患者の運動機能を、モーションキャプチャを活用した3次元動作解析により定量的に評価する方法を世界で初めて開発したと発表した。この研究は、同大大学院連合創薬医療情報研究科・同医学系研究科の加藤善一郎教授と同連合創薬医療情報研究科大学院生の松丸直樹博士(岐阜薬科大学グローバル・レギュラトリー・サイエンス寄附講座特任助教)によるもの。研究論文は日本小児神経学会の英文誌「Brain and Development」に1月22日付で掲載される予定。


画像はリリースより

全身の筋力低下と筋萎縮が発生する脊髄性筋委縮症()は、遺伝子異常を原因とし、脊髄の運動神経細胞の病変によって起こる。およそ10万人に1~2人の割合で発症する、厚生労働省の指定難病だ。生後6か月未満で発症するI型(重症型)、生後6か月から1歳6か月未満に発症するII型(中間型)、生後1歳6か月から20歳以下で発症するIII型(軽症型)、20歳を超えてから発症するIV型(成人型)があり、一般に発症年齢が低いほど進行が速く、死亡率も高い。

SMAの新薬開発の臨床試験では、運動機能改善の客観的・定量的な指標が重要だ。従来のSMA患者の運動機能の評価方法は、複数の動作ができる度合いを段階評価するものが多く、患者の保護者や臨床医が感じている治療効果との差が大きく、治療意欲を維持させる点からも課題があったという。

携帯情報端末での測定・評価も可能に

今回、研究チームは患者・保護者・臨床医の運動機能改善の実感に合致する、客観的・定量的なSMA患者の運動機能の評価指標を開発することに成功。一般的なモーションキャプチャを用いた動作解析では、マーカーを20個以上、被験者に装着するため、煩雑で、測定に長い時間を要するなど患者と測定者ともに大きな負担を強いられるが、今回開発した評価指標では1つのマーカーを肘に装着するだけでよく、簡便に短時間で測定できるため、成人だけではなく小児においても非常に実用的だという。

モーションキャプチャで記録された動作は、マーカー位置情報の時系列データに変換。運動の質を、同じ動作を精確に反復できるかどうかを示す「空間精確性」と、動作の変化が連続的かどうかを示す「なめらかさ」という、2つの評価指標に着目して数値化するという。

この指標は、大掛かりで高価なモーションキャプチャ装置を用いなくても、専用アプリを用いることで、携帯情報端末での測定・評価も可能。筋ジストロフィーや脳血管障害、ADHDなどの発達障害など、他の神経疾患にも応用可能であり、これまで困難だった、神経変性疾患の自然歴を把握することもできるという。研究チームは「スポーツ・舞踊など身体運動の評価や、老化現象の把握や予防評価にも応用可能」と述べている。

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