医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医薬品・医療機器 > オラパリブ、難治性小児悪性固形腫瘍対象のP1試験開始を発表-東京医歯大ら

オラパリブ、難治性小児悪性固形腫瘍対象のP1試験開始を発表-東京医歯大ら

読了時間:約 1分19秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2017年07月31日 PM02:20

がん種を問わず予後不良な標準治療に抵抗性の難治性小児悪性固形腫瘍

東京医科歯科大学は7月27日、難治性小児悪性固形腫瘍患者を対象にPARP阻害剤「オラパリブ錠」の安全性および忍容性を評価し、第2相試験の推奨用量を決定する医師主導治験(第1相試験)を開始すると発表した。この治験は、同大医学部附属病院・大学院医歯学総合研究科茨城県小児周産期地域医療学講座の高木正稔准教授らのグループが、国立がん研究センター中央病院と共同で行うもので、日本医療研究開発機構(AMED)臨床研究・治験推進研究事業の支援と、アストラゼネカ株式会社からの治療薬の提供を受けて実施される。

オラパリブは、DNA損傷応答(DDR)経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導するPARP阻害剤。EU、米規制当局により「BRCA遺伝子変異陽性卵巣がん」の治療薬として承認されている。国内では未承認。

標準治療に抵抗性の難治性小児悪性固形腫瘍の予後はがん種を問わず不良で、長期生存はほとんど期待できない。そのため、幅広いがん種に効果が期待できる新規薬剤の開発が重要だ。高木准教授らの研究グループは、難治性小児悪性固形腫瘍の神経芽腫の約半数にDNA損傷修復応答機構にかかわる遺伝子異常を認め、オラパリブが有用である可能性を発見。今回の医師主導治験開始に至ったという。

2種類以上の化学療法レジメンを行った後に腫瘍が残存する患者が対象

今回の治験対象は、3~18歳の小児悪性固形腫瘍のうち、2種類以上の化学療法レジメンを行った後に腫瘍が残存する患者(造血器腫瘍、脳腫瘍は除く)。治験薬は錠剤のため、錠剤を飲める人が対象となる。募集期間は、2017年6月から予定人数に達するまでで、予定人数は最大18人。参加方法は、医療機関からの紹介となる。治験に関わる薬剤費負担はなく、一般診療にかかる費用は保険診療となる。

研究グループは、同治験結果によって小児に対するオラパリブの安全性を確認し、有用性を検討するための第2相治験実施へとつなげ、小児難治性固形腫瘍に有効な新規治療法が提供されることが期待される、と述べている。(横山香織)

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医薬品・医療機器

  • 縁取り空胞を伴う遠位型ミオパチー薬「アセノベル」承認-ノーベルファーマほか
  • 遺伝子治療レンメルディ、小児の異染性白質ジストロフィーでFDA承認-協和キリン
  • 発作性夜間ヘモグロビン尿症、補体(C5)阻害剤と併用投与する薬剤「ボイデヤ(R)」の国内初の承認を取得-アレクシオンファーマ
  • 多発性嚢胞腎、iPS病態モデルから見出した治療薬候補の前期P2試験開始-CiRAほか
  • 男性型脱毛症(AGA)治療薬、デュタステリド錠0.5mgZA「トーワ」発売-東和薬品