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勤務医の苛酷な労働環境が明らかに JILPT「勤務医の就労実態と意識に関する調査 」公表

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2012年09月25日 PM12:00
「職場の医師不足」は、過疎地ほど感じている

独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)は、「」を対象としたアンケート調査を実施し、その結果について公表しました。

この調査は、民間の医療領域専門調査会社(アンテリオ社)が保有する医師モニターのうち、全国の 20 床以上の病院に勤めている 24 歳以上の医師を対象(医院・クリニックの院長は除外)に実施。

配信数は、11,145 票、回収数は 3,528 票(回収率 32.0%)となり、無効票を除いた有効回収数 3,467 票(有効回収率 31.0%)を分析対象としています。

昨今深刻な問題となっているについては、現場の医師も当然感じており、全体で見ると68.6%「感じる」(「非常に感じる」「まあ感じる」の合計)と回答。また地域別で見ると、「政令指定都市・東京23区」では59.1%「過疎地域」で働く者の方の割合はより高く、78.5%となりました。

(プレスリリースより引用「図表2:医師の不足感」)

週当たり全労働時間は、4割が「60時間以上」!

主な勤務先での1週間当たりの実際の労働時間(時間外労働(残業)時間を含む。休憩時間は除く)は、平均46.6 時間。診療科別に見ると、「外科」 43.1%「救急科」41.7%「脳神経外科」40.2%「小児科」39.5%となっています。

また、主な勤務先での 1カ月間の平均的な「日直回数」「1~2回」51.0%ともっとも割合が高く、次いで「なし」38.2%「3~4 回」6.3%「宿直回数」は、「1~2 回」34.8%となっており、次いで「なし」32.6%「3~4 回」21.8%となりました。

日直「5 回以上」の割合
・「救急科」(33.4%)
・「麻酔科」(8.5%)
・「産科・婦人科」(8.2%)
宿直「5 回以上」の割合
・「救急科」(63.9%)、
・「産科・婦人科」(27.8%)
・「小児科」(21.0%)

(プレスリリースより引用「図表28:患者からの訴訟リスクに対する認識)

「疲労感」は、「」を引き起こす

宿直1回当たりの平均睡眠(仮眠)時間は、「4 時間以上」52.7%ともっとも割合が高く、次いで「3~4 時間未満」27.7%「2~3時間未満」10.4%「2時間未満」5.8%となり、「ほとんど睡眠できない」 3.5%と答える者もいました。

睡眠時間がほとんどないにも関わらず、「宿直翌日」の勤務体制は、「通常どおり勤務する」86.2%。このような勤務状況が続くため、当然のことながら、 「疲労感」「睡眠不足感」「健康不安」について、それぞれ「感じる」(「非常に感じる」「まあ感じる」の合計)と回答した者の割合は、「疲労感」60.3%「睡眠不足感」45.5%「健康不安」49.2%となっています。

気になるのが、「ヒヤリ・ハット体験」の状況。「ヒヤリ・ハット体験」について、「何らかのヒヤリ・ハット体験がある」(「ほとんどそうである」「ときどきそうである」の合計)とする割合は 76.9%に。また、患者からの「訴訟リスク」に対する認識の有無別に疲労感をみると、「訴訟リスク」を「感じる」と答えた者のほうが「疲労感」を感じ、その割合は 78.9%となっています。

▼外部リンク

独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)
http://www.jil.go.jp/institute/research/2012/102.htm

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