ビフィズス菌M-16Vの経口摂取による健常成人女性の顔面皮膚への効果は?
順天堂大学は10月15日、ビフィズス菌の摂取が、成人女性の顔の皮膚に現れる褐色斑などの皮膚の劣化を抑制する可能性を確認したと発表した。この研究は、同大大学院 医学研究科 腸内フローラ研究講座の西川百合子特任助手、浅岡大介教授、大草敏史特任教授、佐藤信紘特任教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Nutrients」のオンライン版に掲載されている。

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おなかと肌の関連については腸皮膚相関と呼ばれ、社会的な認知度や科学的な関心も高く、腸内細菌や腸内環境が皮膚の状態に重要である可能性が示唆されている。
ビフィズス菌や乳酸菌などのプロバイオティクスの摂取による皮膚の抗炎症効果や抗光老化効果が示されており、森永乳業株式会社のプロバイオティクス「ビフィズス菌M-16V」もそのひとつだ。M-16Vはヒト試験において、8週間の摂取での成人アトピー性皮膚炎の重症度スコアの改善や、3か月の摂取でのミルクアレルギー児の皮膚スコアの改善が報告されている。今回研究グループは、ビフィズス菌M-16Vの経口摂取による健常成人女性の顔面皮膚への効果を検討した。
成人女性120人を対象に、ビフィズス菌M-16V粉末を12週間摂取した効果を検証
研究では、乾燥や気温低下により、一般的に皮膚状態が悪化する東京の9月から1月にかけて、顔面に皮膚科的治療の通院をしていない成人女性120人(30~79歳)を対象に、ランダム化二重盲検並行群間比較試験を実施。ビフィズス菌M-16V群59人とプラセボ群61人に分け、ビフィズス菌M-16V粉末(100億個/包)またはプラセボ粉末を1日2回、12週間摂取してもらった。顔の皮膚状態は、医師の診察およびVISIA(R) Evolution(顔の皮膚画像解析カウンセリングシステム)を用いた画像解析評価を、ベースライン、4、8、12週の各時点で行い、被検者には顔の皮膚状態と排便状況についてのアンケート評価を実施した。
ビフィズス菌M-16V群のVISIA褐色斑・毛穴スコア・排便自覚症状改善
VISIAを使った画像解析評価では、摂取8週目にプラセボ群でVISIA総合スコアが有意に悪化したが、ビフィズス菌M-16V群では見られなかった。また、プラセボ群と比較して、ビフィズス菌M-16V群のVISIA褐色斑スコアは4週(p=0.013)および8週(p=0.041)で改善し、VISIA毛穴スコアも摂取前と比較して4週、8週、12週で有意に改善した。
VAS法による排便自覚症状の評価では、プラセボ群と比較して摂取12週目にM-16V群で改善し、特に、50歳以上の集団で顕著に改善が見られた。
プロバイオティクスが皮膚の健康状態の維持に役立つ可能性
今回の研究の結果、乾燥や気温低下により一般的に皮膚状態が悪化する時期に、ビフィズス菌M-16Vの12週間連続摂取による成人女性の顔の皮膚状態などを評価したところ、画像解析によって褐色斑スコアなどの改善が見られ、主観的評価による排便状況も特に50歳以上の方で顕著に改善することが明らかになった。これらのことから、ビフィズス菌M-16Vの摂取は季節性の皮膚状態の悪化を抑制するとともに、排便に課題を抱えがちな中高年の女性の排便状況を改善する可能性が示された。
「今後、ビフィズス菌などのプロバイオティクスが多くの方々の皮膚の健康維持に役立てられることが期待される」と、研究グループは述べている。
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