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乳がん・婦人科がん、42%が検診未受診、不正出血放置の実態も判明-アストラゼネカ

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2025年10月14日 AM09:30

一般女性1,000人を対象に、乳がん・婦人科がんの検診/受診状況などを調査

アストラゼネカ株式会社は10月6日、一般女性に対する乳がん・婦人科がん調査を実施し、その結果、42%が乳がん検診・婦人科検診を受けたことがないことがわかったと発表した。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

同社は、一般女性における、乳がん・婦人科がんの検査の受診状況、婦人科系の医療機関受診状況、不正出血の経験の有無、乳がん・婦人科がんに対する認識および知識を把握する目的で調査を行った。調査時期は2025年1月17日~1月20日、インターネットを通じて実施し、20~60代のがんに罹患したことのない一般女性1,000人(医療従事者を除く)を対象とした。

検診を「受けたことがない」が全体の42%

調査の結果、乳がん検診・婦人科検診について、全体の42%が検診を「受けたことがない」と回答した。

年代別にみると、乳がん検診・婦人科検診を「受けたことがない」と回答した割合は20代で71%、30代56%、40代35%、50代26%、60代以上25%となり、一般的にがんの罹患率が高くなりはじめる40代以降においても25~35%が受けたことがないと回答した。

なお、乳がん・婦人科がんにかかっているかを調べる検診のうち、子宮頸がん検診(20歳以上が対象)、乳がん検診(40歳以上が対象)は、公的な予防対策として推奨され検診費用が補助されることがある。

検査を受けない理由は「必要性感じない・費用がかかる」が上位、年代による違いも判明

乳がん検診・婦人科検診を受けていない理由は、全体では「必要性を感じないため」と回答した割合が29%と最も高く、次いで「検査に費用がかかる/費用が高い」の25%、「検査の痛みが不安・嫌だから」の22%であった。検査を受けない理由で年代別に最も割合が高かったのは、20~30代では「必要性を感じないため」(20代31%、30代30%)、40~50代では「検査の痛みが不安・嫌だから」(40代33%、50代31%)であった。60代以上での割合が最も高かった「体調の不調・健康に不安を感じていないため」(40%)は、この項目を選択した人の割合が最も低い40代では9%であり、年代間で最も大きな差(31ポイント)が見られた。

月経異常・不正出血以外の不調で婦人科を受診する人は半数以下

乳がん・婦人科がんに関連が深い「乳房のしこり」「おなかの張り」「腹痛」「月経異常」「不正出血」「排尿時の違和感」「腰痛」について、それぞれの不調を感じた際に受診する診療科を選択してもらったところ(乳腺科、外科、内科、婦人科、泌尿器科、その他)、すべての症状と診療科の組合せ中、「月経異常」で「婦人科」の割合が最も高く90%、次いで「不正出血」で「婦人科」88%であった。

「乳房のしこり」を感じた際に受診する診療科では、選択した人の割合が最も高かったのは「乳腺科」52%であったが、次いで「婦人科」が48%であった。

婦人科では子宮や卵巣に関連する疾患の診断や治療を行っており、しこり含め乳房の変化に気づいた場合は、乳がんの早期発見・診断・治療につなげるため、なるべく早く乳腺科または乳腺外科を受診することが大切である。また、40歳以降は定期的に乳がん検診を受けることも重要である。

不正出血があっても36%は未受診、理由は「様子を見たが症状がなくなった」が最多

不正出血の経験を年代別にみると、20代27%、30代27%、40代25%、50代31%、60代以上9%が「ある」と回答した(全体24%)。一方で、「不正出血があった際に、医療機関は受診したか」に対し「受診しなかった」と回答した人の割合は、20代46%、30代39%、40代41%、50代21%、60代以上29%であった(全体36%)。不正出血があった際に受診しなかった理由では、「様子をみたが、その後症状がなくなった」と回答した割合が60%で最も高く、次いで「受診が必要だと感じなかった」30%であった。

不正出血は、子宮や卵巣、腟、血液凝固の異常、妊娠等がおもな原因となるが、膀胱や尿道、肛門から出血していることもある。何らかの病気やがんにより起こる場合があるため、月経時以外で出血を繰り返す場合には、少量であっても放置せずに早めに医療機関を受診することが重要である。

婦人科がんリスク要因への認知度、子宮体がんは「わからない」が60%

乳がん、子宮頸がん、卵巣がん、子宮体がんのリスク要因のなかで、最も認知されていた割合が高かったのは乳がんの「血縁者に乳がんになった人がいる」の37%であり、次いで、卵巣がんの「血縁者に卵巣がんになった人がいる」31%、子宮頸がんの「ヒトパピローマウイルスの感染」24%であった。

一方、子宮体がんのリスク要因については、「わからない」と回答した割合が比較したがん種の中で最も高かった(60%)。また「わからない」以外について、いずれの選択肢についても選択した人の割合は15%以下であった。

婦人科がんの自覚症状、不正出血の認知度は3割前後にとどまる

乳がん・婦人科がんの自覚症状について、最も認知されていたものは乳がんの「乳房やわきの下のしこり」の56%であり、最も認知が低かったのは卵巣がん、子宮体がんの「足のむくみ」の5%であった。

子宮頸がん、卵巣がん、子宮体がんでは、その自覚症状について「わからない」を選択した人の割合が最も高く、それぞれ、子宮頸がん(44%)、卵巣がん(48%)、子宮体がん(47%)であった。また、いずれも次に「不正出血」を選択した人の割合が高く、それぞれ、子宮頸がん(37%)、卵巣がん(28%)、子宮体がん(35%)であった。

検診受診率向上、子宮体がんの知識啓発が急務

今回の調査結果から、乳がん検診・婦人科検診の受診状況は十分とは言えず、また乳がん・婦人科がんのなかで、とくに子宮体がんについてはそのリスク要因や自覚症状に関する知識が不足している可能性が示唆された。(QLifePro編集部)

 

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