若い世代のHPVワクチン接種率向上に、接種勧奨のショート動画介入は有効か?
横浜市立大学は8月28日、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンを未接種の18~26歳女性に対して、同世代の女性が友人との会話を通じてキャッチアップ接種を薦める約1分間の動画視聴が、接種率に及ぼす効果を検証するランダム化比較試験を実施したと発表した。この研究は、同大医学部産婦人科学の宮城悦子教授、吉岡俊輝医師(大学院生)、公衆衛生学の後藤温教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「The Journal of Medical Internet Research」に掲載されている。

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日本では、2013~2022年のHPVワクチン積極的勧奨の一時中止によりHPVワクチン接種率がほぼゼロに低下し、多くの女性が接種機会を逃した。2022年に積極的勧奨が再開されたことを受け、接種機会を逃した世代へのキャッチアップ接種を推進することが急務となっている。
そこで研究グループは今回、HPVワクチン勧奨差し控え期間に未接種だった女性を対象に、動画を用いた介入がキャッチアップ接種率に与える効果を評価し、さらに接種行動に関連する要因を探索した。
ショート動画視聴、キャッチアップ接種率に対する有効性は示されず
研究では、インターネット調査パネルから、HPVワクチン未接種の18~26歳女性を登録し、短編動画+解説パンフレットを配信する介入群と、パンフレットのみの対照群へ無作為に割り付けた。3か月後にオンライン追跡調査を行い、自治体の無料キャッチアップ接種を1回以上受けたかを自己申告で確認した結果、解析対象の介入群1,017人中107人(10.5%)、対照群993人中121人(12.2%)が接種しており、両群に有意差は認められなかった。
年齢の高さ、短大・大学以上の教育歴、2年以内の子宮頸がん検診受診歴が接種率と関連
一方で、年齢が高いこと、短大・大学以上の教育歴を有すること、過去2年以内に子宮頸がん検診の受診歴があることは、キャッチアップ接種率と関連していた。
結論として、同研究によりデジタルネイティブであるZ世代を含む若年女性において、ショート動画の視聴がキャッチアップHPVワクチン接種率に大きな影響を与えなかったことが示された。一方で、個人の背景によって接種率が異なる可能性が示唆された。社会的な背景やニーズを考慮した、効果的な対策を検討することが重要と言える。
若年層のHPVワクチン接種の意思決定に有効な方法解明のため、さらなる検証が必要
今回の研究では、接種勧奨に関するショート動画視聴の介入による、キャッチアップHPVワクチン接種率に対する有効性は確認できなかった。デジタルネイティブである若年層の意思決定に対してどのようなアプローチが効果的であるか、さらなる研究により検証する必要がある、と研究グループは述べている。
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・横浜市立大学 プレスリリース


