SIXPAD FootFitのセルフリハビリを前向き研究で検討、高齢がん患者50例対象
関西医科大学は8月20日、肝胆道がんを有する高齢患者に対する電気筋刺激装置(Electrical Muscle Stimulation:EMS)であるSIXPAD FootFit(MTG社)を用いた在宅セルフリハビリテーションの有効性を確認したと発表した。この研究は、同大医学部肝臓外科学講座の小坂久講師らと株式会社MTGの研究グループによるもの。研究成果は、「Archives of Rehabilitation Research and Clinical Translation」に掲載予定。

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がんを有する高齢患者では、入院中のみならず退院後も筋力や活動量の低下が進行しやすく、日常生活機能や予後に影響を及ぼすことが知られている。このように、筋肉量が減少し、身体機能が低下した状態のことをサルコペニアという。サルコペニアの予防・軽減のためにも、自宅で継続可能な在宅リハビリテーションの確立は重要な課題である。
一方で、EMSは電気刺激による「他動的筋収縮」により、運動負荷をかけにくい高齢者や体力低下患者でも筋量・筋力の改善が期待できる方法である。市販機器SIXPAD FootFitは軽量・非侵襲的で、椅子に座って足を乗せるだけで下肢筋群を刺激でき、複雑な設定も不要なため、自宅でも安全かつ容易に継続使用できる。
研究グループは、この有用性に着目し、同機材を用いた臨床研究を行った。今回の研究では、肝胆道がんを中心とする高齢がん患者50例を対象に、在宅で使用可能なEMSを用いた4週間のセルフリハビリテーションの有効性と安全性を前向き研究で検討した。
下肢機能改善、重症サルコペニア割合有意に低下
対象患者の年齢中央値は75歳で、70%がサルコペニアを有していた。介入の結果、下肢運動機能が低下していた患者群において、下肢機能を示すShort Physical Performance Battery(SPPB)の中央値は8点から11点へと有意に改善し(p=0.007)、特にバランス機能と歩行速度の改善が顕著であった。また、重症サルコペニアの割合は66.7%から36.4%へ有意に低下した(p=0.002)。有害事象は認められず、安全性も確認された。
以上より、EMSを用いた在宅セルフリハビリテーションは、高齢がん患者の下肢機能低下およびサルコペニア進行の抑制に有用である可能性が示唆された。今後も、関西医科大学と株式会社MTGは、社会連携講座共同研究契約を軸に、高齢肝胆道がん手術患者の生活機能向上に向け、積極的に取り組んでいく、と研究グループは述べている。
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