お笑い鑑賞者101人対象、質問紙調査と唾液採取を実施
弘前大学は5月7日、お笑いライブを鑑賞することが、一般市民の心理的ストレス(悲観性、不安感)および生理的ストレス指標を短期的に軽減し、楽観性を高める効果があることを明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院保健学研究科の冨澤登志子教授、堀江香代准教授、因直也助教、高間木静香助教、三上佳澄助教、青森県立保健大学健康科学部の七島直樹教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Health Psychology and Behavioral Medicine」に掲載されている。

今回の研究は、2023年9月に弘前市民会館で開催されたお笑いステージ「TAnGE OMOSHÉ」の来場者101人(18~64歳)を対象に実施。参加者は、シソンヌ、とにかく明るい安村、もう中学生、パンサーら人気お笑い芸人4組による約2時間のライブパフォーマンスを鑑賞した。鑑賞の前後で、質問紙調査(楽観性・悲観性、不安感など)と唾液採取(ストレスマーカーである唾液α-アミラーゼ活性測定)を行った。
参加者の楽観性スコアが上昇、63.7%でストレスマーカー低下
研究の結果、ライブ鑑賞後に参加者の楽観性スコアは有意に上昇し、一方で悲観性スコアと不安スコアは有意に低下した。また、ストレスによって上昇する唾液α-アミラーゼ活性も、ライブ鑑賞後に有意に低下した。特に、参加者の63.7%で鑑賞後にα-アミラーゼ活性の低下が見られた。
楽観性の高さ、「愛想笑いの傾向が低い」などが関連
また、鑑賞後の楽観性の高さには、他者によって笑わされる傾向が強いことや愛想笑いの傾向が低いことなどが関連していることも示唆された。
研究代表の冨澤教授は、「多くの人が経験的に感じている『笑いは心身に良い』効果をもたらすことを、心理指標と生理指標の両面から客観的に示すことができた。お笑いライブのような、皆で楽しさを共有できる文化的な体験が、ストレス軽減や気分の改善に有効な手段となり得ることを示唆している」と述べている。同研究は、日常生活における「笑い」の重要性を再認識させるとともに、地域における文化活動が公衆衛生やメンタルヘルス向上に貢献する可能性を示した。この知見が今後のストレスマネジメント等の取り組みに応用されることが期待される、と研究グループは述べている。
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・弘前大学 プレスリリース