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要介護認定なし高齢者、骨折ありで嚥下障害・うつなど増加傾向-藤田医科大

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2025年04月23日 AM09:10

要介護認定を受けていない比較的健康な高齢者、骨折の影響は明らかでない

藤田医科大学は4月11日、愛知県豊明市の地域在住高齢者を対象に、豊明市が実施した約1万6千人規模のアンケート調査から、骨折と健康状態の関連を明らかにしたと発表した。この研究は、同大整形外科学の藤田順之教授と認知症・高齢診療科の武地一教授らの研究チームによるもの。研究成果は、「BMC Geriatrics」オンライン版に掲載されている。

日本は世界でも有数の長寿国であり、高齢者の健康寿命の延伸が大きな課題となっている。中でも「」は要介護状態への移行や死亡率の上昇につながる重大な健康リスクだが、要介護認定を受けていない比較的健康な高齢者における骨折の影響については十分に解明されていなかった。

要介護認定を受けていない高齢者1.1万人、骨折と健康状態の関連を調査

藤田医科大学と愛知県豊明市は、これまでも連携して地域の健康課題に取り組んできた。今回の研究では、豊明市が実施した地域在住高齢者へのアンケート調査の貴重なデータを活用し、両者の協力体制のもと、骨折と健康状態の関連を詳細に分析した。2022年12月~2023年1月の期間に、豊明市に居住する65歳以上の高齢者のうち、要介護認定を受けていない方、約1.6万人に対して調査票を郵送した。有効回答約1.1万人(回収率71.6%)のうち、65歳以降の骨折歴があるか否かを尋ねた結果、15%が「骨折あり」と回答した。

骨折回数が多いほどADL・うつ症状等が悪化傾向、「」は特に強く関連

骨折回数に応じた健康状態との関連を統計解析したところ、骨折回数が多いほど日常生活動作(ADL)、身体機能、うつ症状、記憶障害のいずれも悪化傾向を示した。また、呼吸器疾患、眼科疾患、うつ病などの疾患が骨折回数の増加とともに有意に多く見られた。

「嚥下障害」は骨折回数との関連が特に強く、骨折が1回、2回以上あるグループでは、嚥下障害の報告率がそれぞれ1.34倍、2.24倍と高くなる傾向が確認された。

今後、追跡調査を通じて骨折の健康への影響解明へ

この研究結果は、骨折が“お元気高齢者”にも広範な健康への影響を示唆するものである。今後は、骨粗鬆症の早期発見や転倒予防のための地域での運動指導、住環境の整備、適切な薬剤管理など、多方面からの介入が求められる。また、今回の横断研究を基盤として、今後は追跡調査を通じて骨折がもたらす健康への影響をより明確に解明する予定である、と研究グループは述べている。

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