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【6者懇】創薬人材養成で議論百出-「社会人の大学院進学支援を」

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2025年03月03日 AM10:47

)が2月27日に開かれ、薬学領域で創薬人材を養成するためには、製薬企業などで働く社会人が大学院に進学しやすい環境整備が必要との声が相次いだ。一方で、創薬の担い手を養成する教員が研究に十分な時間を確保できていないとの薬学教育の課題も指摘され、教員の働き方を改革すべきとの意見も出た。

6者懇では、臨床教育と創薬強化の両立をめぐる協議が行われた。2022年度に改訂された薬学教育モデル・コア・カリキュラムは臨床に重点を置いた構成である一方、国は26年度から検討開始予定の次期コアカリに向け、創薬につながる薬学人材養成のための教育内容について検討するとした工程表を示している。

日本病院薬剤師会の石井伊都子理事は、医師を引き合いに、「専門の初期課程を研修しながら大学院で研究も行っている。薬学では6年制が導入されるまでは、社会に出ない人が大学院に進学するイメージがあったが、もっと社会人博士を増やさなければ薬学の発展は望めない」と述べ、制度改革も含めて社会人が大学院に進学しやすい環境整備を訴えた。

大阪大学の小比賀聡薬学部長も、「モダリティに関する研究に取り組んでいる大学は製薬企業から大学院生を受け入れ、良い環境ができつつある。創薬では大学院で社会人を受け入れることが大事」と強調した。

日病薬の奥田真弘副会長は、「薬剤師免許を持つ人で博士課程に進学する人は一部に限られる。コアカリ改訂で臨床だけでなく研究も教えることになった場合、免許を持たない人が研究に関する教育を相当程度担う可能性があり、薬学教育のあり方としてあるべき姿か」と問題提起した。

その上で「6年制薬学部の卒業者の博士課程進学を増やし、臨床と研究のバランスが取れた教育を担える人を養成すべき」と訴えた。

日本薬剤師会の渡邊大記副会長は、「医学生も医師になってから研究成果を積み重ねており、薬学生の研究に最先端の成果は求められていない。薬剤師になってからどんな研究ができるかだ」と述べた。

また、日薬の長津雅則常務理事は、創薬の担い手を養成する教員を取り巻く環境に懸念を表明した。大学教員の研究に充てる時間が減少している実態を指摘し、「研究時間が不足すると、熱意を持って基礎科学を教える人が少なくなる。教員の研究力が低下するならば、日本の創薬力向上は実現しない」と述べ、教員の働き方にも改革が必要とした。

一方、日本私立薬科大学協会の楠文代会長は、「教員が高校生向けの講義を担うなど、研究以外に時間が取られて研究者としての時間が相当圧縮された」と実態を認めつつ、「学校運営側から見ると、学生がどんな考えを持っているか教員が学ぶ機会になっており、学生も懸命に教えられたものは血肉となっている」との見方も示した。

北海道大学の木原章雄薬学部長は、6年制の開始から約20年間で製薬企業の研究職採用が増加したことを紹介したが、「6年制の学生がまとまった研究を行うには時間が足りない。実務実習の22週間に追加の8週間は選択制となったが、将来的に必須となると、卒業研究は形式的なものとなって人材育成が難しくなる」と主張した。

 

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