医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > 医療 > 心血管疾患における5つの危険因子、罹患の半分以上に寄与することが判明-九大ほか

心血管疾患における5つの危険因子、罹患の半分以上に寄与することが判明-九大ほか

読了時間:約 1分45秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年09月05日 AM10:35

世界8地域34か国150万人のデータを統合解析

九州大学は9月4日、、喫煙習慣、糖尿病の5つの心血管疾患の危険因子が、世界中の心血管疾患(虚血性疾患または脳卒中)罹患の半分以上に寄与していることがわかったと発表した。この研究は、同大大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野の二宮利治教授、坂田智子助教らの研究グループ(久山町研究)が参加している国際共同研究Global Cardiovascular Risk Consortiumによるもの。研究成果は、「New England Journal of Medicine」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

心血管疾患は、全世界の死因の約3分の1を占めており、心臓血管疾患は多くの場合、数十年にわたって静かに進行する。多くの場合、気づかれないうちに血管壁が変化し、動脈硬化を引き起こし、心血管疾患を発症する。

Global Cardiovascular Risk Consortiumは、ハンブルグ・エッペンドルフ医療センター(UKE)心臓血管センター循環器科とドイツ心臓血管研究センター(DZHK)が主導する国際共同研究であり、北米、中南米、西ヨーロッパ、東ヨーロッパおよびロシア、北アフリカおよび中東、サハラ以南のアフリカ、アジア、オーストラリアの8地域の34か国における112のコホート研究に参加した150万人の個人レベルのデータを用いた統合解析を行うことにより、世界全体および地域別の心血管疾患の危険因子およびその影響を明らかにすることを目的としている。

過体重・高血圧・高コレステロール血症・喫煙習慣・、総死亡の約2割にも寄与

今回研究により、過体重、高血圧、高コレステロール血症、喫煙習慣、糖尿病という5つの危険因子をすべて合わせると、女性では心血管疾患罹患の57.2%、総死亡の22.2%、男性ではそれぞれ52.6%、19.1%に寄与していることが明らかになった。アジア地域のみでは、女性59.2%、34.3%、男性55.6%、43.2%という結果だった。

さらに、血圧値、血清コレステロール値の上昇に伴い心血管疾患の罹患リスクが直線的に上昇すること、上述の危険因子の心血管病罹患への影響は年齢が若いほど高い(例:40歳代の方が80歳代よりも高血圧の心血管疾患罹患への影響が高い)ことも明らかになった。

説明がつかない部分に関して新たな危険因子の検討が必要

今回の結果から、これらの5つの危険因子を適切に治療・管理することにより心血管疾患の半分以上が予防できることが示唆された。「一方、これらの5つの危険因子では心血管疾患罹患の約45%、総死亡の約80%は説明できないことから、今後も新たな危険因子の検討が必要だ」と、研究グループは述べている。

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 医療

  • 肝線維化の治療薬候補を同定、iPS細胞から誘導の肝星細胞で-東大ほか
  • 「ストレス造血時」における造血幹細胞の代謝調節を解明-東北大ほか
  • 食道扁平上皮がんで高頻度のNRF2変異、がん化促進の仕組みを解明-東北大ほか
  • 熱中症搬送者、2040年には日本の都市圏で2倍増の可能性-名工大ほか
  • 日本人がアフターコロナでもマスク着用を続けるのは「自分がしたいから」-阪大ほか