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若年男性における「脂肪肝」の現状を解明、スクリーニング法確立-岐阜大ほか

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2023年05月25日 AM11:11

MAFLD//ALDの実態と健康診断でのスクリーニング法を検討

岐阜大学は5月18日、若年成人男性の代謝異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)、(NAFLD)、およびアルコール関連肝疾患(ALD)の現状と健康診断におけるスクリーニング法を明らかにしたと発表した。この研究は、同大保健管理センター 山本眞由美教授らの研究グループによるもの。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

肥満人口の増加に伴い、NAFLDは世界的に増加傾向にあり、日本でも増加することが見込まれている。近年、NAFLDの高リスク因子を包括したMAFLDが提唱された。MAFLDは脂肪肝と「肥満」「2型糖尿病」「2種類以上の代謝異常」を併発することで診断され、NAFLDの高リスク因子を考慮することで、肝硬変、肝発がん、心血管疾患の発生リスクが高い患者を効率的に拾い上げることが期待されている。また、近年の肝硬変の成因調査により、ALDが増加していることが知られている。

しかし、若年世代におけるMAFLD、NAFLDおよびALDの実態と健康診断におけるスクリーニング法に関しては明らかではない。そこで研究グループは今回、若年成人男性を対象としてMAFLD、NAFLDおよびALDの実態と健康診断におけるスクリーニング法に関して検討した。

若年成人男性の約1割以上にMAFLD/NAFLDを確認、約1%がALD

研究では、同大学で入学時健康診断を受診した男子大学院生313人を対象とし、通常の健康診断項目に加えて腹部超音波検査、問題飲酒に関する質問票(alcohol use disorders identification test; AUDIT)を行い、MAFLD、NAFLDおよびALDの実態と健康診断測定項目を用いたスクリーニング法について検討した。

参加者の平均年齢は23歳、平均body mass index(BMI)は21.2kg/m 2 であり、4%がアルコール20g/日以上摂取する過剰飲酒者だった。腹部超音波検査により脂肪肝は全体の18%が有し、17%がNAFLD、11%がMAFLD、1%がALDと判定された。また、11%はMAFLDとNAFLDの両者を有していた。一般的に日本人の約30%がNAFLDを有するとされているが、20代前半の若年成人男性においては健康診断などで腹部エコーを実施しないため、これまで若年世代での実態は明らかではなかった。

今回の結果により、若年成人男性においても約1割以上にMAFLDあるいはNAFLDを認め、約1%がALDを有することが明らかとなった。これらの肝疾患は生活習慣の是正により改善する可能性があり、食事・運動療法を含めた生活指導が必要である可能性が示唆された。

若年成人男性のMAFLD/NAFLDのスクリーニングに「ALT値」が有用

次に、健康診断におけるMAFLDおよびNAFLDのスクリーニング法に関して検討した。MAFLDに関しては、多変量解析でBMIと血清alanine aminotransferase(ALT)値が独立したMAFLDに関連する因子であり、NAFLDに関しても同様の結果だった。Receiver operating characteristic(ROC)解析では、ALTとBMIが他の血液検査項目よりも効率的にMAFLDおよびNAFLDを検出可能であることが示された。MAFLD検出においては、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率がALT26U/L以上で0.82、0.77、0.31、0.97であり、同様にNAFLDに関してはALT23U/L以上で0.94、0.34、0.69、0.77だった。

以上のことから、健康診断で一般的に測定するALT値が若年成人男性のMAFLDおよびNAFLDのスクリーニングにおいて有用な検査であることが明らかとなった。また、BMIのカットオフ値はMAFLDが22.9kg/m2 、NAFLDが21.5kg/m2 であり、非肥満者においても脂肪肝を来す可能性を示唆する所見だったという。

血清ALT値に関してMAFLD/NAFLDのない群、NAFLDのみの群、MAFLDのみの群、両者を有した群に群分けすると、両者を有した群はNAFLDのみの群と比して、血清ALT値が高いことが判明した。血清ALT値は肝細胞障害の程度を反映することが知られており、同結果からMAFLDはNAFLDよりも肝細胞破壊の程度が強いことが示唆された。

問題飲酒の把握とALDのスクリーニングには「AUDIT」の追加が有用

ALDは血液性化学検査で検査値異常を来さない場合も多く、スクリーニング法と介入法が喫緊の課題となっている。同研究でも血液性化学検査、飲酒以外の生活習慣はALDをスクリーニングにおける有用性は示されなかった。一方で、AUDITは過剰飲酒およびALDのスクリーニングにおいて唯一有用であることが示された。

AUDIT12点以上をカットオフ値とした場合のALDの検出に関して感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率は1.00、0.96、0.19、1.00であり、健康診断においてAUDITを追加することが問題飲酒の把握とALDのスクリーニングにおいて有用であることが示唆された。

若年成人男性の脂肪肝リスク同定で、将来の健康寿命延長への寄与に期待

今回の研究により、若年成人男性におけるMAFLD、NAFLDおよびALDの現状が明らかとなり、これらの肝疾患を健康診断でいかにスクリーニングすると良いのかが明らかとなった。若年成人男性の脂肪肝リスクを同定することで脂肪性肝疾患の早期発見、生活習慣改善による将来の健康寿命の延長に寄与することが期待される。

「今回の知見により、若年世代での肝疾患の早期発見につながる可能性がある。また、肝疾患につながる生活習慣を把握し、健康診断結果に応じた栄養・運動療法を提案することで、若年世代からの肝疾患への介入方法を確立し、肝硬変、肝発がん、心臓血管疾患を含めた予後改善につながることが期待される」と、研究グループは述べている。

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