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COVID-19関連死の小児を分子剖検、未診断の希少疾患を確認-東京医歯大ほか

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2023年04月19日 AM10:47

臨床症状が多彩で未診断患者の存在も考えられる「

東京医科歯科大学は4月18日、分子剖検によりCOVID-19に関連した小児突然死の背景に、まれなLZTR1遺伝子変異を有する「Noonan症候群」があることを突き止めたと発表した。この研究は、同大大学院医歯学総合研究科 法医学分野の鵜沼香奈准教授ら、小児地域成育医療学講座の金兼弘和教授ら、人体病理学分野の山本浩平講師ら、 大学院医系科学研究科 小児科学の岡田賢教授らの研究グループと、昭和大学、東京大学、、浜松医科大学、大阪母子医療センターとの共同研究によるもの。研究成果は、「Frontiers in Immunology」オンライン版に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

Noonan症候群は、Ras/MAPKシグナル伝達経路に関わる遺伝子の先天的な変異により、特徴的な顔貌、翼状頸、先天性心疾患、血液増殖性疾患、固形腫瘍などを示す先天症候群。出生頻度は1,000~2,500人に1人程度と比較的高い頻度と推定されているが、臨床症状が多彩で診断されていない患者もいると考えられるため、実態は不明なところが多いことが指摘されている。

最近、全エクソーム検査(whole exome sequence:WES)により、ユビキチン修飾関連分子であるLZTR1(Leucine Zipper Like Transcription Regulator1)変異がNoonan症候群と関連することが判明したが、現在までに同変異によるNoonan症候群患者は国内外で50例未満しか報告されておらず、遺伝子変異と臨床症状との関連などについては不明な点が多い。したがって、同遺伝子変異を有するNoonan症候群患者の正確な診断が、病態との関連性を知る上で重要な手がかりとなることが期待されている。また、臨床的にはWESによる網羅的遺伝子解析による診断が進んでいるが、剖検実務で導入している施設は皆無に等しいのが現状だ。

基礎疾患の指摘が無かったコロナ陽性未成年者、剖検でまれな冠動脈起始異常などを確認

2019年に始まったSARS-CoV-2によるCOVID-19感染症は全世界に拡大し、未成年も含め多くの感染者が発生した。

今回、これまで基礎疾患が指摘されていなかったSARS-CoV-2 PCR陽性の未成年患者を剖検したところ、まれな冠動脈起始異常、小児B前駆細胞性急性リンパ性白血病を呈していることが明らかになった。

分子剖検により、LZTR1遺伝子変異を有するNoonan症候群と判明

WESにより、ユビキチン修飾関連分子であるLZTR1の変異が認められ、さらに専門医により、指定難病であるNoonan症候群の特徴的な外観が指摘された。

以上により、LZTR1遺伝子変異を伴うNoonan症候群患者において、COVID-19感染、まれな冠動脈の起始異常、白血病という病態が複雑に絡み合っていることが明らかになった。

白血病・まれな先天性心奇形を合併するNoonan症候群の法医剖検診断に初成功

今回の研究では、LZTR1遺伝子変異が同定され、白血病、まれな先天性心奇形を合併するNoonan症候群患者の法医剖検診断に世界で初めて成功した。

まだこの遺伝子変異を有するNoonan症候群患者の報告数は少ないが、今回の報告が同遺伝子変異を有するNoonan症候群患者における病態との関連性を知る上で重要な手がかりとなることが期待される。

剖検へのWES導入による突然死の診断・予防への応用に期待

法医実務においてWESを導入している施設は皆無に等しいのが現状だが、同研究でも、多施設連携による分子剖検でNoonan症候群を疑うことができなければ、全く別個の複数病変を有する患者の死亡として片付けられ、同研究成果が世界に発信されることはなかったとしている。

「本報告が、分子剖検の重要性に光が当たるきっかけになればと願っている。さらに、WESによる精度の高い剖検診断の結果は、同じ病に苦しむ患者の突然死の予防や、生前の正確な診断にも発展できる可能性が示唆されると考えている」と、研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

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