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【厚労省検討会議】PPI、スイッチ化見送り-販売体制の不備を指摘

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2018年08月03日 PM01:45

厚生労働省の「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」は1日、スイッチOTC薬の候補となる5成分を評価した。前回会議で「継続審議」扱いとなっていた、「オメプラゾール」「ランソプラゾール」「ラベプラゾール」のプロトンポンプ阻害剤(PPI)3成分について再度、審議したものの、厚労省が行っている一般用医薬品の「覆面調査」の結果から、薬局での「販売体制の不備」が浮き彫りとなり、スイッチ化は「否」と判断された。一方、消炎鎮痛剤「ナプロキセン」、女性用頻尿剤「プロピベリン塩酸塩」の2成分は、スイッチ化が妥当と判断された。

この日の会議で厚労省は、PPI製剤の安全性に関するデータや、米、英、仏、独国、豪州などでもOTC薬として汎用されている実態があるとのデータを提示。上村直実委員(国立国際医療研究センター国府台病院名誉院長)は、1週間程度の短期間の服用であれば、既存のH2ブロッカーのスイッチ製品よりもPPIの方が副作用の面で安全であると説明した。

これに対して、長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「医薬品はリスク・ベネフィットで考える必要がある」とし、「短期間の使用であれば、リスクが低いと言うが、H2ブロッカーを大きく上回るだけのベネフィットはあるのか」と慎重な姿勢を示した。

他の委員からは、1日2回服用のH2ブロッカーに対し、PPIは1回の服用で済むため、「コンプライアンスの面で良い」「どちらを選ぶか選択肢はあった方が良い」などの意見も出て、割れていたが、厚労省が提示した「一般用医薬品販売制度定着状況調査」の結果で、濫用の恐れがある医薬品を複数購入しようとして、「質問されずに購入できた」薬局が2016年度は36.6%に上っており、多くの委員が反対に回った。

乾英夫委員(日本薬剤師会副会長)は、濫用の恐れがある医薬品の多くが指定第2類に分類されており、薬剤師以外の登録販売者でも販売できることから、「登録販売者が対応しているケースもある」と主張したが、他の委員からは、「3人に1人が複数購入できることに懸念を感じた」「36.6%という数字を下げていく必要がある」「現時点でOTC化は時期尚早」などの意見が相次ぎ、PPIのスイッチ化は「否」とされた。

PPIについては、製品そのものの安全性に対する問題ではなく、薬局での販売体制の不備が原因となり、スイッチ化が見送られることとなった。

一方、前回会議で議論し、既にパブリックコメントを終えたH1ブロッカー点眼薬「レボカバスチン塩酸塩」を目のかゆみに限ってOTC化を「可」とし、尋常性乾癬治療薬の「カルシポトリオール」は「不可」とする判断は変わらなかった。

 

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