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新たな上皮がん治療薬の共同研究契約を締結-千葉大とSEEDSUPPLY

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2018年04月13日 PM01:15

NF-κB活性を阻害する低分子化合物を共同研究

千葉大学は4月11日、株式会社SEEDSUPPLYと「SWI/SNFcomplexに依存的なNF-κB活性を阻害する低分子化合物の探索」に関する共同研究契約を締結したと発表した。この研究は、日本医療研究開発機構(AMED)の創薬戦略部が実施する創薬支援推進事業・創薬総合支援事業(創薬ブースター)における支援テーマのひとつで、導出先企業として同社が公募により選定された。


画像はリリースより

多くの上皮がんの開始・進展には活性化を受けた種々のNF-κBダイマーが関与することが認知されているが、NF-κBの阻害剤で切れ味の良い抗がん作用を示すものはない。その理由として、同剤がNF-κBの活性化に至る特定のシグナル伝達経路上の重要分子を標的としているために、他のシグナル経路とクロストークすることで、その特異性が低くなったり、効果が部分的なものになったりすることなどが挙げられる。

同大・真菌医学研究センターの伊庭英夫特任教授らは、これまでにd4-familyタンパク質(DPF1,2,3a/b)が種々のNF-κBダイマーとクロマチン構造変換因子SWI/SNFcomplexのアダプターとして機能することを示してきたが、さらにd4-familyタンパク質のN端側がアダプター機能に重要なこと、またC末端側にもNF-κBダイマーの転写活性化に必要な制御領域があることを明らかにしている。

第三者とのさらなる共同研究も模索

今回の共同研究で同社は、d4-familyタンパク質に対して結合活性を有する低分子化合物を独自のバインダ・セレクション技術を用いて化合物ライブラリ(約40万化合物)から探索。同大ではこれらの結合化合物のNF-κB阻害活性を培養細胞を用いて計測し、高い阻害活性を持つ結合化合物に対しては抗がん活性(足場非依存性増殖)を初めとする細胞培養レベルでの高次評価系検索を行う。両者はこうした成果をリアルタイムで共有しながら作業を繰り返し、SWI/SNFcomplexに依存的なNF-κB活性の阻害による抗がん剤のシード化合物の選出を進める。

同社でのスクリーニングの結果、候補結合化合物が見出されている。今後は、シード化合物の選出を行い、低分子化合物によるd4-familyタンパク質への結合に由来する種々の生物活性との関係を明らかにし、また、第三者とのさらなる共同研究も模索して行く予定。

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