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理研 薬物標的タンパク質を選択的に蛍光で示す方法を開発

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2013年12月24日 PM05:00

生きた細胞内で標的タンパク質を探し出す

独立行政法人理化学研究所は12月16日、同研究所の袖岡幹子主任研究員らが、生きた細胞内で薬物の標的タンパク質を選択的に蛍光ラベル化して探し出す方法を開発したと発表した。科学技術振興機構JST課題達成型基礎研究の一環としての成果である。

(画像はプレスリリースより)

創薬ターゲット分子の生体内探索

医薬品開発において、新薬候補物質のターゲットとなるタンパク質の機能を理解することが重要とされている。新薬候補となる物質は、この標的タンパク質のリガンド(特定の受容体に特異的に結合する物質)であり、数万種類以上の生体分子が存在する複雑な細胞の中で、標的分子がどこに存在するかを見つけることは、リガンドとの結合確率を高めることにもつながり、効果的な新薬開発の重要なポイントになる。

画期的な蛍光プローブ設計

今回発表された技術は、アフィニティーラベル化法のプローブ分子設計を根本的に変えている。分子量180という非常に小さな分子サイズの蛍光ユニットであるNBD(ニトロベンゾオキサジアゾール)を用いることで、リガンドの化学修飾を最小限に抑えている。またNBDは通常無蛍光であり、アミノ基と反応して蛍光を発することから、標的タンパク質とリガンドが結合することで目印分子として機能する。これは結合していない状態での背景ノイズを押さえ、高感度で検出することにもつながっている。本来のリガンドの認識機能(標的タンパク質に対する親和性や選択性)を損ねることなく、蛍光プローブ分子を担持している点で、従来にない高い汎用性があるという。

作用がわからない薬物の機能解明へ応用

研究では、ミトコンドリア外膜にあるトランスロケータータンパク質(TSPO)にこのリガンドを適用、その実用性を生きた細胞で確認することに成功している。今後、作用メカニズムがわからない薬物の標的タンパク質の探索などを生きた細胞で追跡することが可能となり、医薬品開発や生体タンパク質の機能解明の一助となることが期待される。(長澤 直)

▼外部リンク

科学技術振興機構 プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/

独立行政法人理化学研究所
http://www.riken.jp/

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