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パーキンソン病の外科的治療、脳深部刺激療法(DBS)のメカニズムを解明

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2013年03月05日 PM08:13

DBS療法の作用メカニズム

(Deep Brain Stimulation、DBS療法)はパーキンソン病やジストニアなどの運動障害に対する外科的治療で、大脳基底核の淡蒼球内節に刺激電極を埋め込み高頻度連続電気刺激を与えることで、運動障害を改善する。理学研究所はこれまで不明だったDBS療法の作用メカニズムについて、淡蒼球内節を介した情報伝達の遮断が治療効果を生んでいるとする新たな説を提示した。

サルの淡蒼球内節にDBS法に相当する電気刺激を与えると自発的な神経活動が抑えられた。次に抑制性の神経伝達物質GABAの作用を抑える薬を投与したところ、淡蒼球内節の神経活動はGABAの作用で抑えられた。

以上の結果から、DBS療法は神経活動を刺激するのではなく、淡蒼球内節に情報を送るGABA作動性神経の軸索末端を刺激しその放出を促すことで神経活動を抑制していることがわかった。

より効果的な治療へ

パーキンソン病は大脳基底核の黒質にあるドーパミンを作る神経細胞が減ることで筋肉がこわばったり手足が震えたりする神経難病で1000人のうち約1人に発症する。ドーパミン神経細胞がなぜ減るのかはわからないが、これを薬で補充する治療が行われる。さらに進行した段階でDBS療法を行う。

ジストニアは筋肉の収縮でねじれるような運動を示す難病で筋肉にボツリヌス毒素を注射して治療する。全身性の場合にDBS法を用いる。

淡蒼球内節を経由する情報伝達の遮断によって治療効果が表れるとした今回の研究で、神経活動を抑制するために必要最小限の電気刺激を与えるなどの展開が考えられる。より効果的な刺激方法の開発や新たな薬物治療につながると研究グループは期待している。(馬野鈴草)

▼外部リンク

生理学研究所
http://www.nips.ac.jp/

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