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高齢者の声の若々しさ、心の健康や社会的交流と関連-都長寿研

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2025年12月16日 AM09:10

筋力などさまざまな影響を受ける声、心身の健康とどのように関係するのか?

東京都健康長寿医療センター研究所は11月28日、地域在住高齢者を対象とした横断研究により、「声が若い」と周囲から言われる高齢者は、良好なメンタルヘルスと活発な人間関係を持つ傾向があることを明らかにしたと発表した。この研究は、同研究所の小島成実研究員および笹井浩行研究副部長らの研究グループによるもの。研究成果は、「Journal of Voice」に掲載されている。


画像はリリースより
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人の「声」には年齢が表れるといわれるが、実際に声の若々しさが心身の健康とどのように関係するのかは、これまで十分に明らかにされていない。声は発声器官だけでなく、全身の筋力、呼吸機能、精神状態などさまざまな要素に影響を受けるため、加齢や生活習慣、健康状態を反映している可能性がある。

高齢者1,066人対象質問紙調査、声の若さの関連要因を探索的に調査

今回の研究では、東京都板橋区在住の高齢者1,066人(平均年齢77.5歳)を対象に、「周りから『声が若い』と言われることがありますか。よくある/たまにある/めったにない」という質問紙調査を行い、その回答と生活習慣・健康指標との関連を検討した。分析では、質問に対し、「よくある/たまにある」と答えた人を「声が若い」と定義した。そのうえで、声の若さの関連要因として、身体組成(体内水分率など)、体力、喫煙・飲酒習慣、睡眠、栄養摂取、認知機能、抑うつ傾向、社会交流頻度などさまざまな要因を探索的に調べた。

友人や知人と月1回以上の直接交流を持つ人ほど「声が若い」と評価される

研究の結果、最終的に「声が若いと評価されること」と有意に関連する主要因として浮かび上がったのは、心の健康と社会的交流であった。すなわち、「WHO-5」で評価される精神的健康状態が良好である人ほど「声が若い」と評価される割合が高く(オッズ比1.07[95%信頼区間1.04–1.09])、また、友人や知人と月1回以上の直接交流を持つ人ほど「声が若い」と評価される割合が高いことが示された(オッズ比2.23[95%信頼区間1.71–2.91])。それ以外の指標は統計的に有意な関連を示さなかった。

客観的に声を評価する手法での検証が必要

今回の研究は、「声の若々しさ」が心身の健康や社会的交流と関連していることを初めて明らかにした。声は誰もが日常的に意識できる特徴であり、「声の若さ」が心身の健康や社会的つながりの維持に関わる可能性が示された。同研究の限界点としては、「声の若さ」を「他者の評価」と「本人の回答」という二重のフィルターを通して評価しているため、一定のバイアスを含む可能性がある。今後は、声の若さを客観的に評価する研究でさらに検証する必要がある、と研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

 

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