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入院患者の転倒率、看護師のEBP教育プログラム導入で低下の可能性-大阪公立大

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2025年11月17日 AM09:10

従来のEBP教育プログラム、全てのプロセスに関する教育が含まれていないなど課題

大阪公立大学は11月4日、エビデンスに基づく実践(Evidence-Based Practice:EBP)の全てのプロセスに関する教育を組み込んだ新たな教育プログラムを開発し、プログラムの効果を無作為化比較試験で評価した結果を発表した。この研究は、同大大学院看護学研究科の古木秀明研究員らの研究グループによるもの。研究成果は、「Japan Journal of Nursing Science」に掲載されている。


画像はリリースより
(詳細は▼関連リンクからご確認ください)

病院に入院している患者の死亡率や転倒・転落発生率、せん妄発生率などを低下させるためには、EBPを推進することが重要である。そのためには、効果的なEBP教育プログラムの整備が必要不可欠であるが、従来のEBP教育プログラムには、EBPの全てのプロセスに関する教育が含まれていないことや、厳密な方法でEBP教育プログラムの評価が行われていないという課題があった。

EBPの全てのプロセスに関する教育を組み込んだプログラム開発、看護師87人対象に検証

そこで研究グループは、EBPの全てのプロセスに関する教育を組み込んだ新たな教育プログラムを開発した。そして、日本国内の病院に勤務する看護師87人を対象に、本プログラムを実施する介入群(44人)と、実施しない対照群(43人)に分け、本プログラムの効果を無作為化比較試験で評価した。

プログラム実施群、EBP知識・技術/実践スコアが有意「高」

その結果、介入群は対照群と比較して、介入直後および介入2か月後において、EBPの知識・技術のスコアやEBPの実践のスコアが有意に高いことが示された。

患者の死亡率や転倒・転落発生率など改善につながる可能性

この知見は、同プログラムが看護師のEBPの知識・技術の向上とEBPの実践の促進のための効果的なアプローチであり、患者の死亡率や転倒・転落発生率などの改善につながる可能性があることを示唆している。

同研究では、EBPの全てのプロセスに関する教育を組み込んだプログラムが、看護師によるEBPの推進に効果的であることを実証した。同プログラムは、2日間(1日約7時間)で実施できるため、大学や医療機関における教育へ活用・普及できるよう取り組んでいきたい、と研究グループは述べている。(QLifePro編集部)

 

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