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乳がん術後女性用の「使い捨て入浴着」を開発、QOL向上支援に-畿央大ほか

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2021年08月06日 AM10:50

」の認知の低さ、市販品での機能・素材に課題

畿央大学は8月3日、乳がん術後女性が手術痕を気にすることなく温浴施設で入浴できる使い捨てタイプの入浴着を開発したと発表した。この研究は、同大健康科学部人間環境デザイン学科村田浩子教授、小松智菜美助手、看護医療学科中西恵理講師、理学療法学科福森貢教授、村田ゼミの学生らの研究グループが、奈良県福祉医療部疾病対策課、文化・教育・くらし創造部消費・生活安全課の協力を得て行ったもの。研究成果は、日本繊維製品消費科学会2021年次大会(オンライン開催)で発表された。


画像はリリースより

近年、日本女性の11人に1人が乳がんに罹患し、乳がんは女性が家庭や社会で活躍する30歳代後半から急激に増加するがんといわれている。しかし、早期発見であれば約90%の人が治癒している。このことから研究グループは、乳がん治癒後の健康改善、QOL向上を支援することを目的に、日常の楽しみの一つである入浴に着目し、温浴施設等で着用できる入浴着の制作を計画した。

2016年に行った乳がん術後女性への予備調査では、回答者の約半数の人が「温泉に行きたくても行けない経験をした」と答え、市販されている入浴着についても半数の人が「知らない」と回答。入浴施設でも入浴着が認知されておらず、奈良県内の施設ではほとんど知られていなかった。

2020年に再度実施したアンケート調査でも、入浴着の認知度は術後女性・施設とも低く、「知らない」「あまり知らない」と回答した女性が57%、施設で88%にも及んでいた。調査から、奈良県における入浴着の認知度は低く、入浴施設での運用状況も徹底されていないことが明らかになり、行政等からの入浴着の着用についての周知が求められていた。また、術後女性そして施設等へのアンケート調査より、必要とされる入浴着のタイプや入浴着に必要な機能・素材等の課題が認められていた。

着脱しやすく、湯船から出た時の湯切れの良さなどに配慮

今回、研究グループは、調査結果をもとに株式会社GSIクレオスの支援を受けて、日本初となる「使い捨て入浴着」を制作した。肌に近い色の生地を使用することで着用していることが目立たず、胸の上部の切り替え部分にギャザーを入れることにより左右の胸のバランスを保つという特徴がある。

生地の外側にはっ水性、内側に吸水性の性能を持つ素材を使用し、湯につかっても浮き上がらず、湯船から出た時にも湯切れを良くした。生地の内層部に伸縮性のあるポリウレタンを使用し、背中をV字型に大きく開けるデザインにすることで身体を洗いやすくなるよう配慮。結果、首、裾部分のどちらからでも、着用時の動作や脱着がしやすい構造になった。

奈良県で「入浴着を着用した入浴に理解を求めるポスター」を制作・配布

奈良県は、入浴着を公衆浴場や旅館・ホテルの浴場、サウナなどで活用できるよう、2021年3月、県内すべての施設に「入浴着を着用した入浴に理解を求める」ポスターを制作・配布し、県民への周知と理解を求めた。

「今後は入浴施設での運用を試みるとともに、持ち込みタイプの「マイ入浴着」についても、素材開発を進めていく」と、研究グループは述べている。

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