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国や企業などが行う「集団の謝罪」、どのような方法で誠意が伝わるか判明-神戸大ほか

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2019年12月13日 AM11:15

個人間の謝罪では、補償を申し出るなど「謝罪のコスト」をかけるのが効果的

神戸大学は12月11日、友人間や同僚間で行われる謝罪には、コストがかかっているほど誠意が感じられる(脳の意図処理ネットワークが活性化する)ことが明らかになったと発表した。この研究は、同大大学院人文学研究科の大坪庸介教授、名古屋大学大学院情報学研究科の大平英樹教授、愛知医科大学の松永昌宏講師 (及び衛生学講座の研究チーム)、高知工科大学経済・マネジメント学群の日道俊之講師の研究グループによるもの。研究成果は、「Social Neuroscience」のオンライン版に掲載されている。


画像はリリースより

これまでの謝罪の研究で、「誠意のある謝罪が許しを引き出しやすい」ということは知られていたが、どのような謝罪の内容であれば誠意があるとみなされるのかという具体的な研究はなかった。研究グループはこれまで、個人間の謝罪では、被害の補償を申し出る、大事な用事をキャンセルして謝罪を優先するなど、謝罪する側に何らかの不利益が生じる「謝罪のコスト」をかけることで誠意が伝わるということを明らかにしていた。このようなコストをかけてでも謝るという行為は、謝罪する側が「本当に申し訳ない」「関係を改善したい」と思っていなければできない。

しかし、個人だけではなく、組織、企業、国などの集団が謝罪をする場面も多い。このような「集団の謝罪」においてもコストがかかっているほど誠意があるとみなされるのかという問題はこれまで検討されていなかった。そこで今回、研究グループは集団の謝罪について検討を行った。

「コストのかかった謝罪」は、集団謝罪の場面でも有効

まず、予備調査として、大学生108名に第3者の立場から、企業や組織が問題を起こした場面を想像してもらい、それに対して企業が「コストをかけて謝罪した」「単に謝罪した」「謝罪しなかった」に分類し、それぞれの対応にどれくらい誠意が感じられるかを評定してもらった。

例えば、ある会社の製品が発火する事故が何件か生じたという場面で、その企業が「すぐに謝罪し製品の交換も行うと発表する場合」「単に製品の不具合について謝罪する場合」「調査中として謝罪しない場合」について評定してもらった (全部で10種類の組織の問題があり、それぞれについて3種類の対応があったため、全部で30種類のシナリオを評定してもらった)。その結果、誠意の知覚はコストのかかる謝罪ほど高くなっていた。

個人間の謝罪の場面では、誠意を知覚すると、脳の意図処理ネットワーク (・両側の側頭頭頂接合部、楔前部) が活発化することが大坪教授らの先行研究で明らかになっている。そのため、同研究でもfMRIを用いて、集団によるコストのかかる謝罪が、コストなしの謝罪 (ただ謝罪するだけ)、謝罪なしと比較して意図処理ネットワークを活発化するかについて調べた。スキャナの中での実験の手続きは、まず集団の過ちの説明(「ある役所が不用品の払い下げで癒着を指摘された」など)があり、それに対する集団の対応(「その役所は今後このようなことをしないと謝罪した」など)が説明され、その集団を許せるかどうかを評定し (その後、10秒間休憩してもらい) 、次のシナリオへと移っていく。この方法を30回繰り返した。実験に参加した25人分のデータを分析した結果、前頭前皮質についてはコストのかかる謝罪条件でも特に強い活動が見られなかったが、両側の側頭頭頂接合部と楔前部ではコストがかかる謝罪を想像した場合、コストなし謝罪や謝罪なしの対応を想像した場合よりも強く活動していた。

今回の研究結果は、謝罪を受ける側が、個人の行う謝罪と同じように集団からの謝罪を処理していることを示している。つまり、個人間の場面で効果的な「コストのかかった謝罪」は、文脈に応じて適切に集団用に変更した場合、集団謝罪の場面でも有効であることが示唆された。

個人間の謝罪の機能は友好的な関係の回復にあるが、企業の謝罪は集団の利益の保持など、個人の謝罪とは異なる目的で行われる可能性がある。しかし、ヒトの脳は、それを対個人の場面と同じ場所で処理している可能性が今回の研究結果で示唆された。研究グループは、「そのことを理解すれば、効果的な集団の謝罪方法なども理解できるようになると考える」と、述べている。

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