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サリドマイドの標的タンパク質セレブロンが、神経幹細胞の増殖を制御-東京医科大ら

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2019年05月15日 PM12:45

サリドマイドが脳の発生に与える影響を明らかに

東京医科大学は5月13日、サリドマイドが結合する標的タンパク質であるセレブロンが、脳の神経幹細胞の増殖を制御することで、頭部を縮小・拡大させることを、ゼブラフィッシュのモデル系を用いて明らかにしたと発表した。この研究は、・ナノ粒子先端医学応用講座の半田宏特任教授(東京工業大学名誉教授)および東京工業大学・生命理工学院の山口雄輝教授らのグループによるもの。研究成果は、米科学誌「iScience」の電子版に掲載されている。


画像はリリースより

サリドマイドは、1950年代に鎮静剤として開発されたが、妊娠中の女性が服用すると新生児の手足や耳などに発生障害(奇形)をもたらすことから、世界的な薬害を引き起こし、1960年代前半に市場からの撤退を余儀なくされた。新生児は、サリドマイドに暴露された時期により異なる奇形を示し、妊娠初期に暴露されると自閉症を引き起こす。しかし、サリドマイドが脳の発生にどのように作用するのかは、明らかにされていなかった。

セレブロンは、サリドマイドの主要な細胞内標的因子として、半田特任教授、東京医科大・ナノ粒子先端医学応用講座の伊藤拓水准教授らにより同定され、2010年に「Science」に報告された。セレブロンは、タンパク質の分解を司るE3ユビキチンリガーゼ複合体の構成因子で、分解すべき基質タンパク質を認識する役割を担っている。

サリドマイド類似体が、認知症や精神疾患等の治療薬となる可能性も

研究グループはまず、脊椎動物のモデル生物であるゼブラフィッシュの頭部が、サリドマイド処理により縮小することを示した。次に、サリドマイドの標的タンパク質であるセレブロンの発現を抑制すると、頭部原基でp53依存的な細胞死が誘導され、頭部縮小をもたらすことを明らかにした。

反対に、セレブロンを過剰発現すると頭部が拡大し、脳の神経幹細胞が増加した。セレブロンの過剰発現により、頭部原基が形成される発生初期からSOX2を発現する神経幹細胞が増加。その結果、神経幹細胞から生み出される神経細胞やグリア細胞も増加することが判明した。このことが、セレブロン過剰発現による頭部拡大をもたらしていると考えられる。

今回、サリドマイドの標的タンパク質であるセレブロンの脳の発生過程における役割が、ゼブラフィッシュのモデル系を用いた研究成果により、初めて明らかにされた。特に、「セレブロンの発現が増加すると脳の神経幹細胞が増加する」という発見は、セレブロンの活性を高めるサリドマイド類似体を同定すれば、脳の神経幹細胞を増やす作用を持つ新たな薬になる可能性を示唆している。

研究グループは、「サリドマイドはかつて胎児に深刻な奇形をもたらした薬として世界的に知られているが、セレブロンの活性を高めるサリドマイド類似体は、今後拡大が予想される認知症や精神疾患等の治療薬となる可能性を秘めている」と、述べている。

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